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 なんとなく、気まずい空気になってしまった。  ふたりは淡々と買い物を済ませた。結局、ジェイミーは数日分のレトルト食品と、卵、牛乳、ミネラルウォーターを買った。  会計を終え、数歩前を歩くリュカの背中を眺める。ほっそりとした足に沿う細身のジーンズと、パーカーというラフな格好だ。オーバーサイズのパーカーの中で、華奢な体が泳いでいる。細い足、薄い体。強く掴んだら折れてしまいそうだ。  これじゃあ貧血や寝不足でなくとも倒れてしまうな、なんてことを考えながら、ジェイミーはリュカの荷物を取り上げた。目をまんまるにして驚いた様子のリュカが、小動物のようで微笑ましい。 「荷物持ちになる約束だろ?」  リュカは目を細め、素直に「ありがとう」と笑って、ジェイミーの隣に並んで歩き出す。 「ねえ、よかったら夜は一緒にご飯食べない? 僕が作るから。その、きみの歓迎会ってことでさ」  部屋の前で荷物を返したとき、リュカが明るく提案してくれた。  昨日リュカの部屋に上がり込んだのは不可抗力だったが、この場合はどうするべきか。これが他のオメガであれば、そういった誘いも含んでいるのではないかと邪推してしまうところだが……リュカはそんなことは欠片も考えていないだろう。そもそもジェイミーがアルファであることも気付いていないのかもしれない。  一瞬悩んだが、それは本当に一瞬で、ジェイミーはすぐに提案に乗った。 「いいのかい?」 「もちろん。八時でどうかな?」 「わかった。楽しみにしてるよ」  そうと決まれば手土産を考えなければ。トランクを漁ればきっといいワインの一本や二本は出てくるだろう。
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