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オレンジジュースを飲みながら空を見上げる。全然晴れる気配がない。
「おやおや。可愛いにょたチョコ男子の匂いに誘われて来てみれば翡翠ちゃんと瑠璃ちゃんじゃないか?」
突然気持ち悪いことを言われて、そっちを見ると百メートルくらい離れた場所に理事長がいた。
「この雨ならば濡れて服が透けて二人のお胸見えちゃう可能性あり!」
理事長がこっちに向かって駆けてくる。
「瑠璃お兄ちゃん! 怖いよ!」
「大丈夫。安心しなよ」
瑠璃お兄ちゃんはのんびりオレンジジュースを飲んでる。
「瑠璃お兄ちゃん!」
理事長が五十メートルくらいまで近付いてきた瞬間、理事長は空に吹っ飛んでいった。なぜか? どこからともなく猪さんが現れて理事長を吹っ飛ばしたからだ。
「な? 出る前に猪さんに理事長に気をつけてってお願いしておいたからさ」
「いや……。訳分かんないよ! いつもそんなことしないでしょ!?」
瑠璃お兄ちゃんはオレンジジュースを飲み切って空き缶を空き缶入れに捨てて人差し指を立てて見せる。
「言ったろ? 雨の日は危険だって」
瑠璃お兄ちゃん……、僕には全然理解できないよ……。雨の日は危険がいっぱいって理事長みたいな人が湧くからなの?
「翡翠も飲んじゃいなよ。俺の予想だともっとヤバいの来るから」
「理事長以上にヤバいのって誰のこと?」
伊織先生しか想像つかないのだけど……。
「分からない。ただ俺のへんたいセンサーが反応している」
何? そのセンサー? 妖怪アンテナみたいの? 初耳なんだけど?
危険がいっぱいと言われて理事長が現れて瑠璃お兄ちゃんが前もって対処していたところを見ると信じるしかない。僕はオレンジジュースをグイグイ飲みながら走り去っていく猪さんのお尻を眺めていた。
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