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「まぁ知っとるかもしれんけど、ウチは閉鎖的な男子校やから恋愛は同性愛が主なんよね。
やから、…うん。アンタは絶対にそこらかしこのヤツらに狙われるから覚悟しといた方がええで!」
すごい真剣な顔でビシッと指を刺された。
…というかやっぱりここはそうなのか。まぁ、薄々勘づいてはいたがハッキリと言葉にさせると何処か辛いものがあるな。
「…はぁ、そうか。忠告助かる。だが面倒は避けたいな」
心からのため息が出た。正直慣れていない訳では無いがそういう目で見続けられるのは些か疲れるからな。
「ま!何かあったらすぐ言ってや?そうゆう時は風紀の出番やからな!ってことで連絡先交換しとかへん??」
「あ、あぁ。助かる、ありがとう」
凄いスムーズに連絡先を交換する流れになったな。この人ナンパとか上手いタイプの人か。と謎に尊敬してしまった。
「あ、せや!アンタのこと隼人って呼んでええか?俺のことも悠って呼んで欲しいんや」
「好きに呼んでくれて構わないぞ。そうだな…悠先輩と呼ばせてもらおうかな。」
さすがに先輩は付けさせてもらおう
「え!呼び捨てでええのにぃ!なぁ、呼び捨てで呼んでや!」
すごい目を見つめてお願いしてくる。
「ごめんな、ただでさえ敬語を外させてもらってるんだ。これ以上舐めた態度をとると痛い目に合わされそうだからな」
しかも悠は立場ある人だろう?目をつけられては困る。
「う。まぁそうか。しゃーない、妥協したる。けどその分沢山呼んでな!」
「あぁ、そうさせてもらうな。悠先輩」
少しふざけて顔をのぞき込みながら目を細め、ニヤリと笑ってみた。
「っっ!!」
すると何かを言おうとした悠は、耳や首まで真っ赤になってしまった。
…あー、やらかしたな俺。だからあんまり表情筋使わないようにしてたのに、気が抜けてたな。
「すまん、ちょっと悪ふざけがすぎたな。…ほら、少し急がないと時間が無い」
謝罪にポンと頭を軽く撫でてから歩き出す。少ししてから「悠先輩」と呼んで止まっていた足を動かしてもらう。
そのままたわいも無い雑談をしながら歩いていると理事長室の前に着いた。
「着いたで!ここが理事長室、扉のオーラがちゃうよな笑」
「ここか、案内助かった。多分話が長くなると思うから何も無ければ先に帰ってもらえるか?」
俺と理事長は知り合いなため、きっと無駄な話もするだろう
「そぉか、まぁ転入生ってだけでレアやし細かい説明もあるやろうしな。了解。じゃあ隼人、またな!」
「あぁ、また。」
笑顔で言葉を交わしたあと悠は背中を向けてさっき来た方向へ廊下を歩いていく。
さて、俺は理事長に会わなくちゃな、体を理事長室に向けてノックをする。
「入れ」と何度も聞いたことのある落ち着いた通る声で入室を許可された。
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