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「うん、3学年全てS、A、B、C、Fクラスがあるんだ。
Sから順に基本的に成績順だね。だけど、さっき言った役員はSクラスになるようになってるよ。
で、Fクラスはちょっとした問題児クラスかな?喧嘩しちゃったり、授業態度があまりに良くないとなるクラスだね。」
成績順か、
「俺はどのクラスになるんだ?」
「うん隼人くんはSクラスだよ!試験満点本当にすごいね!さすが隼人くん!」
いきなり元気になったな、まぁ褒められるのはうれしい。
「そうか、ありがとな。頑張ったかいがあったよ」
「うんうん。じゃあもうちょっと詳しく説明していくね……
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「…なるほど。理解した。」
「良かった。…そろそろ時間かな?隼人くんのクラスの担任を呼んでるからホームルームで自己紹介とか頑張ってね」
克巳さんが腕時計を確認しながら話す。
そうか、自己紹介か。人前に出るのは好きじゃないがしょうがないな。
「わかった。ありがとな」
「うん。
"コンコン"
あっちょうど良いタイミングで来てくれたみたい。
入れ。」
「失礼します。……っ!」
入ってきたのは所謂ホストのような整った容姿の男性だったが、その男性は入って俺を見るなり目を見開き固まってしまった。
「…すみません。俺がどうかしました?」
さすがに不安になってその男性に話しかける
「っ!いや!なんでもない!…理事長、そいつが転入生であってますか?」
はっと我に返ったように動き出し克巳さんに話かけた。
少し頬が赤くなっている気がする。
「そうだよ。この子は今日から君のクラスに転入する京極隼人くん。
隼人くん、こちらはSクラスの担任の一 司くんだよ。教室まで一緒に行ってね。」
紹介されたのでお互いに挨拶を交わす。
「では理事長、そろそろホームルームの時間も迫ってきていますので失礼します。」
先に扉を出た担任に続いてドアを出る
「隼人くん、学生生活楽しんでね!」
克巳さんにドアを出る間際に声をかけられたので振り返って笑顔で頷いた。
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"ガチャン"
「はぁ……。」
扉が閉まるのを確認してから1人ため息を着く。
ずっと脳内で再生されるのは少し前の隼人くんとの会話の内容だ。
『……それに、克巳さんは勘違いなんてしないだろう?』
『……俺は克巳さんみたいな人がいて本当に助かっている。変なことを言うみたいで悪いが、俺に惚れないでいてくれてありがとな』
……残酷だなぁ君は。
知らないとはいえ、とっくのとうに君に惚れ込んでいる相手にあんなことを笑顔で言ってのけちゃうんだから。
でも彼は、相手が自分に惚れてるとわかると、誰かが傷つく前に、静かに誰にも気づかれないように突き放す。それも、突き放されている本人すら気づかないうちに。
…だから、僕は気づかれちゃいけない。
いくら悪意のない残酷な言葉を吐かれても、君の近くにいることが叶うのなら、友達でいられるならそのままでいい。
振り返って見せてくれた、さっきのような笑顔が見られる友達という特等席に、少しでも長く座っていたいから。
…そんな、気づかれさえしてはいけない、叶わない恋を諦められないでいる僕は馬鹿だなぁと他人事のように思い、喉から乾いた笑いがこぼれた。
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