パニック！

ここから先は…命の保証がない

程なくしてヘリのローターが止まり、横腹がスライドして十数人下りて来た
ひぃふぅみぃ…全員スーツ姿だが…先に下りてきた黒服連中の左の脇のあたりが膨らんでいるのは、護衛役のつもりなんだろう
あの感じは…32口径ってところか
ただ…リリーちゃんとデイジーちゃんの方が強そうだけど
ミランダさんとアレクシア嬢を先頭にすぐ真後ろにパパとサクラさんが、最後尾に身を隠すようにリリーちゃんとデイジーちゃんが、さっきパパが引いた線の１メートル程手前で足を停めた
ヘリから下りてきた、恐らくこいつらが本命だろう、を出迎える…違うな、待ち伏せする為に
ヘリにパイロットは…残ったままだ
まあ、ウチと相棒なら目の前にいるのと然程は変わらないけどね
あーん、でも距離があるから会話が聞こえない
ただ碌でもない会話なんだと思うけど
先頭に来て大げさに手を広げて近寄ろうとしているメガネ、今時単色のネクタイ？を本人はお洒落のつもりなんだろうけど…趣味悪っ
その右横にいるのは…見るからにバカそうな、目をキョロキョロさせて宇宙と交信でもしていそうな、パパくらいの年齢の奴
で、左にいるのが…うわ、ウチが…いやハルさん達も受け付けない、メガネに顔がシワだらけでチンクシャな奴
で、その三人の陰に隠れるように…うわ、こいつも老人斑だらけでてっぺんにない髪をサイドから無理矢理持って来てる…ウチ、撃っても良いかな～？生理的に受け付けないんですけど…こいつが人の後ろから大口開けて何やら喚いているっぽい…ハルさん、撃っちゃダメですよ？いくら嫌いなタイプだからって…
最後の一人は…映画「ゴッドファーザー」のコスプレ？みたいに帽子被ってマフラー？首に掛けて…今時欧州のマフィアだってこんな時代錯誤な格好しないわ〜ズレてるわね～
全員が気持ち悪い笑顔で、風に乗って匂いがする、腐敗の

あ、連中が動き出した
パパの引いた線に近付いてる
ミランダさんとアレクシア嬢がその線を指差して何か連中に言ってる
あ、足が止まった
さっきまでのほんわかしたミランダさんじゃない、無表情に何か…警告？してる感じ
スコープ越しにも殺気が伝わって来る
大方「この線越えたら命の保証はしない」くらいは言ってるんだろう…

「シイちゃん、あたしさっきから撃ちたくて仕様がないっす！このままじゃししょーに的を独り占めされちゃうっす！」

わかってますけど…
隣のハルさんがG11のスコープを覗いて、どうも撃ちたくてウズウズしている…
取り敢えず…パイロット撃っときます？

そう提案しようとしたその瞬間、動きがあった
連中がパパが引いた線を一歩踏み越えたのだ！
ハルさん、今です！どさくさ紛れにウチは右の、ハルさんは左の、パイロットを狙い撃つ！

っしゃあ！大当たり！ヘリの前面ガラスを貫通して、パイロットの左肩に狙い通り、本当だって、命中！
ウチはハルさんを護衛役に残して、P320の遊底を引きながら、パパの援護に走る！