僕らが選びました!

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僕らが選びました!

 六月のはじめ、にょんたんずは更紗さんに内緒で伊織先生に会いに行った。つまり更紗さん以外のスタジオメンバーは知っている。それはそうだ。更紗さんへのサプライズバースデープレゼントを作るための相談だったのだから。 「なんか最近、スタジオが賑やかだね」  更紗さんはお仕事のにょたチョコ男子モデルのバイタルチェックをしつつ、壁を眺める。壁にはにょんたんずが描いた絵がいくつも貼られている。 「いつもの伊織先生の思いつきですよ。にょんたんずを側に感じたいのでしょう」  束砂さんの説明に更紗さんは納得してしまう。伊織先生はにょんたんずに物凄く執着しているのを知っているから。確かににょたチョコ男子にょんたんずは誰の目から見ても可愛い。 「まぁ可愛らしいからいいけど、お花の絵ばっかりだね」 「いいじゃん。若いうちから植物の観察眼鍛えるのってかっこいいじゃん!」  今まさに更紗さんのバイタルチェックを受けているげたんわくんが楽しそうに言った。誰に聞いてもポジティブな感想が返ってくる。だが更紗さんは薄々気付いていた。六月からだろうなぁと。  伊織先生の思いつきに振り回されたことは何度とある。だがそれは突発的でイベントに繋がるのはすぐなのだ。何かしら変わったことがあって、すぐ何かしら起きないのは毎回決まっている。あれなのだ。  これは当日まで気付かないフリをしなくては。更紗さんは使命感を胸にバイタルチェックに臨んだ。  それは突然だった。予想はしていたけど。 「更紗お姉ちゃん! 誕生日おめでとうございます!」  更紗さんのバースデーパーティーの日、にょんたんずが突然現れて何やらデカい包みを渡してくる。 「わぁ! ありがとう!」  嬉しいのは本当だ。 「開けていい?」  にょんたんずの首が縦に振られる。 「これは……」  包みの中には浴衣。ひまわり柄の青い浴衣があった。 「僕らでデザインして、浴衣にしてもらいました! 更紗お姉ちゃんに似合うといいんだけど……」  もじもじと恥ずかしがるにょんたんず。スタジオメンバーのみんなも毎回凝ったプレゼントをくれるけど、にょんたんずも頭を悩まして贈ってくれたのだ。 「ありがとう。大切に着るよ。でもなんで絵をスタジオに貼ったの?」 「えっとボツになった絵も伊織先生が僕らの描いた絵は捨てられるか! ってなぜかキレて……」  束砂さんの言ったまんまの理由かよ……とちょっとガッカリしたがプレゼントは普通に嬉しい。 「宵宮のときとか必ず着るね」  嬉しそうなにょんたんずの顔。それだけで癒やされる。 「じゃあバースデーパーティー続けよう! にょんたんずの席もちゃんとあるから!」  わきゃわきゃと指を動かす伊織先生。 「今日は私の隣だよね?」  なんとなく引き止める更紗さん。今日は余計な心配したくない。  主役の発言に伊織先生は悲しそうな顔をする。その横でみんな安心した顔。そりゃそうだ。にょんたんずも大切な仲間なんだもの。ちゃんと浴衣着た姿を見せてあげないとね。 HAPPY BIRTHDAY♪
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