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生活を制限され、ただひたすら一つの行為を強制される部屋。その名は「牢獄」。
もしこの男の言っていることが本当ならば、「牢獄」というこの部屋の名は、真実を正確に言い表しているのではないだろうか。
実際にあの部屋は「牢獄」なのだ。この男が変なのではない。あの部屋が変だったのである。
あの部屋に入ると、誰もが変になってしまうのだ。あの「牢獄」の囚人となり、ギターを弾き散らかして歌を歌い続けるという刑に服役させれらてしまうのだ。
何の罪かは、分からないけど……!
「こわいですね……!」
肩をさすりながら、私は震えた。
「もう引っ越したらいいのに、そんなとこ……!」
男は涙を拭いて、
「ありがとうございます」
と、肩をさすっていた私の手をやさしく制した。
「でも……僕本当に歌手になりたくて。正直、迷ってます」
「それは、なぜ」
「自分で言うのも何なんですけど……正直、自分でも思うんですよね。自分、歌がうまくなったなって。それ、あの部屋のおかげかな、って、ちょっと思ってるんです」
「……えっ」
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