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「ギターも少し弾けるようになって。こんな噂もあるんです。この部屋に住んだらみんなスターになれるっていう」
「え、ほんとですかそれ」
「たとえば、Kさんとか、Nさんとか」
「ま、ままままじですか。超有名じゃないですか」
「僕どーしても、その説を、信じたくって……っ!」
「え、待って。誰が言ってたんですか、それ」
「ここの家主です」
「……」
大丈夫か? それ。
今すぐスマホを開いて真偽を確かめたい衝動にかられた。情報源があやしすぎるだろ。
でも。
確かに、よかったんだよね、歌は……。
と思った。
あれは、あの部屋のせいだったんだ?
「だとしても」
私は言った。
「そのままで、いいの?」
私は男の顔を見て話した。
髪も髭も伸びっぱなしで、目と鼻とくらいしか確認できない。服も臭い。体臭かもしれない。体もやせほそり、そのせいかどうか分からないけどジーパンもゆるゆるだ。何日洗っていないんだろう。スニーカーも薄汚れているが某有名ブランドのものだ。
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