ルウと魔女

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 それよりも恐ろしい。魔女に見つめられて、自分の体が石になってしまったように動けない。ルウを助け出すどころか、自分一人で逃げ出すことすらできそうにない。  でも。 「ルウは……ルウはどこ」  声を振り絞ってケントは尋ねた。魔女は、まだ階段の上からケントを見下ろしている。 「ルウはどこにいるの」  それを聞いて、魔女は笑った。 「教えるわけにはいかないよ」  そして、ぱちん。魔女が目を見開いたとたん、ケントは闇に引きずり込まれた。  目を覚ました場所は、さっきの階段のところとは全然違った。真っ暗だ。しかも、ろうそくの火も、月明かりさえもない闇の中である。  でも目が慣れてくると、さらにケントは不安になった。  真っ暗な闇の中を、無数の扉が並んでいる。廊下は無限に続いていて、扉にも廊下にも果てがないようだった。  目の前の扉を開けてみると、また廊下が続いていた。その隣も。その隣も。その隣も。  そして、中に入ってみるとまた、果ての見えない廊下がえんえんと続いているのだった。  何も見えず、聞こえない。凍てつくような、むなしい世界。 「ここは一体どこなんだ」
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