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さみしさのあまり、ケントは声を出して言った。けれどそれはこだますらせず、ケントの耳にただ響いただけだった。
ケントは途方に暮れた。
僕は閉じ込められてしまったのだろうか。
もしくは追い出されてしまったのだろうか。
ここはどこなんだろう。
床の色、ドアのかたち、魔女の家とそっくりだ。でも。
さみしい。あまりにも、さみしすぎる。
ここは、人が生きられる世界とは思えない。
僕は、どうなってしまうんだろう。
恐ろしさに震えながら、それでも、ケントはルウを探した。
「ルウ!」
何度も、何度もケントは叫んだ。
すると、それからどれくらい後だろうか。
上のほうからぼんやりと明るいものが下りてきて、ケントの顔を温かく照らした。
「ルウ……?」
それは髪だった。光り輝くような金の髪。
もしかして、と思って、ケントは見上げた。
すると見上げた先に、ずっと会いたいと夢見ていた、あのルウが見下ろしていた。
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