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そして、同じ二階には、あの魔女もいた。じっとこちらを見下ろして、にらみつけている。
「受け止めてくれて、ありがとう」
ルウは、ケントの手にルウの手を重ねた。ケントの手は、いつの間にかルウの三つ編みをぎゅっと握りしめている。
その手をほどいて、ケントはルウと手をつないだ。
早くしなきゃ。ケントはそう思った。
「ルウ。行こう。ここから逃げよう」
「うん。でも、私はもう逃げなくていいの」
「え?」
ルウはケントと手をつないだまま、くるっと後ろを振り返った。
その先には魔女がいる。
魔女に向かって、ルウは言った。
「おばあちゃん。私、ここを出て行きたい」
「ルウ」
魔女の声を聞いたので、ケントの心臓は恐怖で弾んだ。でもよくよく聞いてみると、さっきケントを動けなくしたような恐ろしい声色ではなかった。
怖がらせる、というよりも、どちらかというとおびえているみたいだった。魔女じたいが。
「……行けるものか」
「ううん。行ける」
ルウは強い気持ちでそう答えた。うれしくて笑みさえこぼれてしまう。
「だって、ケントが来てくれたから」
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