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ルウは、朝起きてそのことに気がついた。
立てないわけじゃない。部屋のドアを開けて外に出ると、廊下が無限に続いていたのだ。歩いても歩いても廊下の突き当たりにたどり着かない。階段を降りても、また廊下。角を曲がっても曲がっても、また同じ廊下に戻ってしまう。突き当たりは見えているのに、まるで足だけ動かしているかのようだ。全然前に進まない。
「おばあちゃぁん」
ルウはとうとう大声で叫んで、助けを呼んだ。
おばあちゃんは、ゆっくり歩きながら、ルウのところへ来てくれた。
「どうしたの」
「トイレに行けないの」
「あらまぁ。ほほほ」
「なんでだろう」
「そりゃあそうさ。ルウがどこにも行かないように、魔法をかけたからね」
おばあちゃんは、ルウの手を取って言った。
「トイレには、おばあちゃんが連れて行ってあげる」
おばあちゃんに手を引かれて、ルウは何とかトイレに行くことができた。
ほかのことも、みんなそう。お風呂も、お食事の部屋も、全部おばあちゃんについてきてもらってたどり着くような有り様だった。
学校へも行けなくなった。
「本当に役に立つことだけ勉強しなさい」
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