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ロープに手をかけたその時、おばあちゃんの怒鳴り声が鳴り響いた。
見つかった、と思ったけれど遅かった。ロープはたちまち断ち切れてしまった。
それだけではなかった。部屋に唯一あった窓には、黒い鉄板が打ちつけられ、触ると手が凍ってしまうのだった。
もはや、ルウの部屋は冬だった。日差しも、季節を告げる風でさえ、もうこの部屋には届かない。
おばあちゃんはやさしかった。いつも笑っていたし、楽しい話もたくさんしてくれた。でも、決して家から出してはくれなかった。
私はこの家から出て行かねばならない。ルウは日増しに思いを強くしていった。ロープを断ち切った時のあの怒った顔、ロープを断ち切る威力。「魔女」というおばあちゃんのもう一つの姿が恐ろしかった。
ルウの世界で変わっていくものは、今はルウ自身の体だけだった。
「髪、切らないのかい?」
「うん」
ルウは髪を伸ばし続けた。そして毎日丁寧にくしけずり、三つ編みにして固く結い上げた。三つ編みはやがて、動くのが困るくらいに長くなっていった。でもその長い三つ編みを、ルウはなぜだかいとおしく思えてしまうのだった。
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