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もともと金色で美しいルウの髪だ。それは日々美しく磨かれることによって、まるで幻の国でしか手に入らない糸のように輝きを強めていった。
おばあちゃんは、そんなルウの髪を少しだけ廊下に出しておいてほしいと言った。
「どうして?」
「ルウの三つ編みが見えるからだよ。おばあちゃんはルウがいることさえ分かれば、安心して眠れるのさ」
ルウは、おばあちゃんもさみしいのだと思った。
それなのに私は、おばあちゃんを一人残して出て行きたいと願っている。そんな自分を、悪い子だ、とも思った。
だけどルウはケントに会いたかった。
ケントに会った時、おしゃべりした時、窓の外に広がる世界を見た時。その時はじめて、自分は生きているのだと感じられる。玄関にもたどり着けない今の自分は、「生きている」とは全然思えなかった。
その思いは、ケントも同じだった。ルウに会いたい。あの恐ろしい魔女の家から、ルウを何とか救い出したい。
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