ウソ鳴き

　年がら年中タバコを吹かして公園で鳩に餌をやる。そういう男がいた。絶滅したかに思えた。まだいたのだ。不良がゲームセンターにたむろするかわりに老人がゲームセンターに寄合所を作るように。ぼくは三子にこう語りかける。「ああいう老人になりたいと思う？」「いえ、わたしはわたしという老人になるわ。タモリがタモリにしかなれないように」「タモリがタモリにしかなれないように」ウソはどう鳴く？　そんなどうでもいいことを思いながらタバコを公園の花畑に押し付ける老人を眺めていた。