怪短譚

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「廻死日和」  15才くらいの少年が、神社で呪いの言葉を吐きながらクスの木の下で首を吊った。  しばらくしてカラスがやってきて、少年の目を抉り咥えて飛び去り、ある民家の庭先に落とした。  庭で焚き火をし、焼き芋ができるまで折り畳み椅子に腰掛けてた男の膝元に目玉が着地し、それが何かを認識して動転し足がもつれ焚き火の上に倒れこんだ。  男の髪に火が燃え移り、死に物狂いで家に駆け込み台所で天ぷらを揚げていた妻にぶつかり、衝撃で天ぷら油が二人に降り掛かった。  結果火だるまとなった二人により家は全焼し、自室でうたた寝していた子供も焼死した。  その子は首を吊った少年をイジメていた同級生だった。    
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