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「幸せの逃走」
妻が亡くなり10年。一人息子の家族と同居して8年。最初は喜んだが、今や地獄だ。
この家を支配してるのは嫁で、私の貯金で家をリフォームし、4畳一間においやられた。年金の中から月5万渡され、そこから食費、病院代、洗濯、銭湯代(家のは使わせてもらえない)をまかなっている。
小学生の孫二人は、ジィ、早く天国に行けと罵ってくる。年2回の家族旅行はもちろん私抜きだ。
ある日嫁がスマホで、「うん、ジィ、まだ死ぬ気配なくてさあ。いなくなればママも一緒に住めるのに」
それを聞いた時、怒りの余り噴死しそうになったが、このままでは終われない。この日からある計画を練りだした。
冬休みに入り、彼らは1週間のグアム旅行へ旅立った。すぐに夫婦の部屋に入り物漁りした。
私の年金で購入した嫁のブランドバッグ、時計にアクセサリー。他にも家電や孫のゲーム機など換金できそうな物をごっそりリサイクル店に持ち込み100万余りを手に入れた。
へそくり200万と妻の位牌をバッグに詰め、家中に灯油をまんべんなく撒き、何本かのローソクを床にじかに灯し、外に出た。
「あばよ!」
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