3.お誘い

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 しかし次の日。  まだベッドでまどろむ玲司の元に、端末が着信を知らせてきた。見たことのない番号だ。  まさか──そう思いつつ応じれば。 『樺主任! 起きてます? 早速ですけど、今から出られますか?』  玲司はベッドサイドの時計に目を向けた。まだ、七時を過ぎたところだ。 「覚えてたのか…」  目頭を押さえながら、眠気を払う。 『ええ!? って、昨日の、冗談だったんですか?』 「…違う。ただどうせ、覚えていないとは思った。三十分もあれば出られるが…」 『じゃあ、一時間後に、今から言う場所に待ち合わせでいいですか? 駅の改札出た所で。よろしくです!』  朝から元気が良すぎる。ため息をつきながら、雫が指定した駅名を頭の中で反芻した。 「こんな早くに、店は開いているのか?」 『それが──開いているんです! あ、朝ご飯は抜いて来て下さいね? じゃあ、後ほど』  それで一方的に通話は切れた。  まるで嵐だ。  言われなくとも、朝飯など食べている余裕はない。ゆっくり眠ってなどいられなかった。午後には買出しに出る予定だったから、起きるつもりはあったが、休日にこんなに早く起きるのは久しぶりだった。  あいつ、普段もこんなに早く起きてるのか?  ああいった若い連中は、休日は遅くまで寝ている──と思っているのは偏見か。  とにかく、待ち合わせ時刻に遅れるのは避けたい。  玲司は気合を入れて起き上がると、シャワーを浴びるため浴室に向かった。
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