邪馬台国の歌が聞こえる

5/7
前へ
/7ページ
次へ
 今日は邪馬台国祭り最終日。  邪馬台国パークには、オープン以来最多ともいえるくらいたくさんの人が押し寄せていた。  多くの人が来てくれることは期待していたが、まさかこれほどの人とは……。  しかし、初日からこの人出だったわけではない。  初日は観客もまばらだった。  通常の営業日よりは多かったが、どちらかというと「祭り」と呼ぶには少し寂しい観客数だった。  しかし、二日目、まばらだった観客の人数は一気に二倍、いや三倍になった。  そして、最終日の今日、その数は初日の十倍以上に膨れ上がっていた。  その原因は……邪馬台国ショーで主役を務める伊代の存在である。  初日のショーで伊代の姿を見た人が、 「邪馬台国パークにすごい子がいるぞ」 「まだ幼いのに女王の風格がある」 「とにかく、かわいい」 「まさに現代の邪馬台国の女王」  と伊代の姿と演技に惹かれ、その様子を一斉にSNSで発信したのだ。  それを見た人が、伊代の姿を生で一目見ようとパークにやって来て、その人がまた発信して……と繰り返した結果がこの観客数だ。  邪馬台国ショーは非常に盛り上がった。  伊代の演技はやっぱり素晴らしかったし、それに引っ張られるように他のメンバーのパフォーマンスも今までで一番といっていいほど素晴らしかった。  会場には本当に多くの人が詰めかけ、みんながショーを楽しんでいた。  ミス卑弥呼コンテストも負けてはいなかった。 「私こそが女王・卑弥呼」  と言わんばかりに参加者がアピールし、かわいらしい卑弥呼から、妖艶な魅力を備えた卑弥呼まで、実に多くの卑弥呼が終結した。  こちらも大いに盛り上がった。  そして、いよいよ邪馬台国祭りは、フィナーレを飾る最後のイベント「邪馬台国大合唱」を迎える。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加