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わたしは再び、アキラの部屋に侵入し、クローゼットの中に隠れた。
あの女刑事はまた、部屋にやって来ると予想した。
だけど、刑事がアキラにすり寄っておとり捜査をしてくるなんて、完全にアキラを検挙しようとしているではないか。
アキラはこのことを知らないだろう。ならば、わたしが彼に知らせるまでだ。彼の危機を救えるのは、わたししかいない。
クローゼットの中の隙間からスマホで動画撮影をして、メールに動画を添付してアキラに送るのだ。
これは我ながら、名案だと思った。もしかすると、アキラはわたしを見直して、もう一度アキラとよりを戻せるかもしれない。
クローゼットの中でわたしは早くも浮かれていた。アキラはわたしのものだ。
しばらく待ったが、女刑事はなかなか現れなかった。
わたしは不意に眠気を覚えてしまい、仕方なくスマホのニュースサイトを開いた。
「相次ぐ女性ばかりを狙った無差別殺人、警察が注意を呼びかけ」というタイトルが目に入った。
最近、世間を震撼させている事件だ。わたしも夜の帰り道は怖くて、アキラに何度か付き添ってもらった。
その時、ドアが開く音がした。
わたしはニュースサイトを閉じ、息を潜めた。
例のごとく、女刑事は家探しを始める。
わたしは隙間から動画撮影を開始した。
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