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「僕は尚吾の事をちゃんと好きだったよ?
尚吾も僕の事を、好きだと思っていたんだ。
取り敢えず、さっきまでは…ね?
尚吾に取ったら、些細な事かもしれないけど、僕は許す事は出来ない。心が狭いから。
それに僕、付き合う時に言ったよね?前の彼氏が浮気して子供まで作って別れたって。
その時、尚吾は言ってくれたよね?
『俺は浮気なんかしないって』忘れた?ああ、そっか、あれはうそかぁ。
男とするのが興味があっただけかぁ。ああ、納得」
「違うっ!」
「大きな声出さないで?尚吾…。どんな言い訳をされても信じられないし、聞く気にはなれないから。だからこれで終りだよ…」
「……南海……」
ドアの隙間から僕の名前を呼んだ
その声は、聞き逃してしまいそうな小さな声だった。
胸をキュッと握られたように痛く感じたのは何故だろう。
尚吾は…。僕の事ちゃんと恋人として僕を見ていたのかな…?
周りの人たちからは、止めとけと言われていたけど、熱心に口説かれて絆されて、チャラいクセに意外と誠実だと思っていたんだ。
……残念だよ。
「もう2度と会わない。もう帰って。ずっとそこに居るようなら警察に電話するよ?そこのごみ袋3つ持って帰ってね?
僕には必要ないものだから。
尚吾、大学で会っても話し掛けないで。さようなら」
静かにドアを閉めた。
その時の尚吾の顔は顔面蒼白だった。
遊びで恋人を裏切るヤツは何度だって裏切る。
寝室の窓からゴミ袋を持って上を見上げる尚吾と視線が合った。
僕はニッコリと微笑み手を振った。
今日は尚吾の誕生日だよね。
プレゼントにこれはどうだった?
―― END ―――
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