後悔なんてしない

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アパートに戻り、部屋にある尚吾の荷物を手早くごみ袋に入れた。 お揃いのカップ、スリッパ、部屋着、下着、ゲーム機、未使用のコンドームの箱3つと封を切った箱と未使用のローション5本…。 ―――ローションは僕が貰ってあげよう。高いヤツだし。 まだまだ沢山、尚吾の持ち物がある。 たまにしか来ないのに、50リットルのごみ袋3つもあった。 付き合って半年。意外と荷物があった事に驚いた。 そうだ、メッセージ送らないと。 スマホを取り出し、文面をどうしようかと考えた。結局シンプルに「別れる」という3文字の言葉を尚吾に送って、アドレスを削除し、電源を切った。 ごみ袋3つを玄関の外に出して置く。 僕の部屋は角部屋だから出して置いても大丈夫だろう。それに、貴重品でもないし。 ひと仕事を終えて、ベッドにダイブし溜め息を付く。 なんだろう。凄い脱力感。 今は何も考えられなくて、そのまま目を閉じた。 インターフォンの連打で目が覚めた。 そぉーっと玄関まで忍び足で行く。 モニター画面を見ると尚吾がごみ袋を見てギョッと目を見開いている顔をしていた。 インターフォンでは飽きたらず、今度はドンドンとドアを叩く。 お前は、借金取りか? 合鍵を渡してなくて良かったと心底 思った。 入って来られたら警察に電話してやろう。 「そこに居るんだろう?南海(みなみ)!」 仕方なくチェーンを付けたままドアを勢い良く開けたら、ガンっという音がした。 「――っ!いってぇ……っ」 尚吾のどこかに当たったらしい。どんだけ近付いてドンドン叩いてたんだ。 痛がる尚吾の声が聞けて、 ニヤリとした僕は悪くないと思う。
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