僕の階段はあの星に続いている

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 それなのに、今年は階段が崩れてしまった。  人によって階段の見え方は違うが、本質、というか、支える軸となる柱は同じらしい。その柱の老朽化が進んでいたらしく、ついに崩れてしまった。  本当はメンテナンスをしなければならなかったのだが、上る人が途絶えるということが中々なく、できなかったという。仕方がないことだった。  誰にも、どうしようもないことだった。  僕は、今年、階段を上らなければならない年だった。階段が崩れたのは、ちょうど僕が上り始めた頃だ。  階段の入り口を通って、上り始めてしばらくしたとき、上からガラガラと音がした。驚いて音の方へ進んでみると、瓦礫の山が見えた。先の階段が崩れてしまい、上れなくなってしまっていたのだ。僕は急遽、一旦外に出ることになった。  僕のような人は、たくさんいたらしい。一旦外に出た人たちは、階段が直るまで待つことになった。一度自宅に戻るようにと指示が出された。  崩れた階段の、もっともっと先にいた人は、そのまま上ることができた人と、階段から落ちてしまった人との二通りだったという。  上り続けることのできた人は、すぐに上り終えたと聞いている。落ちてしまった人は、僕ら同様、一旦待つしかなかった。
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