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♯ 20
« KAMISATO »
伊那「 ___ ふーん、だったら此処の3小節目から段々強くして
5小節目で一気に弱くすればいいんじゃない ? 」
風雅「 成程 ... 」
燈矢「 確かにその方がメリハリついていい感じかもな 」
詩「 迫力も増しそうだね !! 」
魁里「 でも強弱つけるだけじゃまだまだ足りない、薄っぺらい曲に
なっちゃう 」
魁里「 ちゃんと曲想も練らないと 」
詩「 前も云ってたけど ... 曲想って何 ? 」
魁里「 ... まあ簡単に云うとその曲のイメージとかテーマとか 」
魁里「 その曲が何を伝えようとしているかを考えて、自分の気持ちを
のせられたらもっと良くなる 」
風雅「 まずは曲を理解しなきゃか ... 」
魁里「 何もこの作曲者解釈を演奏者に委ねる人らしくて 」
風雅「 うーん、どういう曲か ... 木漏れ日 ... 」
狼架( ... 木漏れ日 __ ... )
「 光を差してくれるような、沈んだ時に引き上げてくれるような人は
大事にしないといけないぞ ? 」
狼架「 ... 闇 」
風雅「 え ? 」
狼架「 闇 」
狼架「 歌詞からも考えられるけど、人間の奥深くに眠っている闇 」
狼架「 何かを引き金に破裂してしまうと1人じゃ戻れない 」
狼架「 だけどそんな時に光を差してくれるような ... 沈んだ時に
引き上げてくれるような人を大事にしろ ... 」
狼架「 ... みたいな解釈もあると思う 」
静江「 ... 」
静江( ... 一郎の云ったこと、ちゃんと覚えてんだね )
詩「 えーなにそれ深い !!! 」
伊那「 へー、じゃあジブンが堕ちた時に引き上げてくれる人を想像
しながら演奏すればいいってことじゃない ? 」
風雅「 す、凄い神楽 !!! そんな考えた方もあったんだ !!! 」
狼架「 それほどでも ?(ドヤッ 」
風雅「 わあ、すっごいドヤ顔 ... 」
兎衣「 引き上げてくれる人 ... 俺には狼架しか居ないな 」
伊那「 えー、俺等は ? 」
兎衣「 力にはなれそうだけど狼架には敵わない 」
伊那「 酷ーい 」
兎衣「 当たり前でしょ 」
風雅「 俺はやっぱり兄かなぁ ... なんだかんだ兄に扶けられそう ... 」
羅夢「 へー、仲悪いの ? 」
風雅「 まあ ... 犬猿の仲って感じで ... 」
羅夢「 ふーん 」
魁里「 ... 」
魁里( 引き上げてくれる人 ... か )
魁里( 僕にはそんな人 __ )
燈矢「 ...じゃあ 俺ァ、七瀬を引き上げる役で 」
魁里「 ... え 」
伊那「 えー一寸燈矢、何柄にもないこと云っちゃってんのぉ ? 」
兎衣「 どっちかって云うと燈矢のが堕ちそうだよな 」
詩「 どことなく闇深そうだしね 」
羅夢「 オーラとかなんかもう桁違い 」
風雅「 何云ってるの ... ? 」
狼架「 ... へー、ふーん(ニヤニヤ 」
燈矢「 んだよ 」
狼架「 いーや、めでたいなーって 」
燈矢「 撃つぞ 」
狼架「 否俺悪くなくね ? 」
詩「 ... んー、じゃあ結論的にこの曲は 」
詩「 皆ポジティブに行こう !!! 引き上げてくれる人は絶対居る !!!
君は絶対に孤独じゃない !!!! 」
詩「 ... って叫んでる感じの曲なのかな ? 」
羅夢「 それだ ー !!! 」
羅夢「 聞いてる人全員を笑顔に出来る演奏 ... 最高かよっ !!!! 」
詩「 ね !? ね !? かっこいいよね !? 」
燈矢「 闇が深そうな俺等だからこその曲だな 」
兎衣「 ジブンで云う ? 」
燈矢「 事実なんだからしょうがねぇだろィ 」
狼架「 ... 凄ぇ、この曲まさに ... 」
狼架「 俺等の曲だ 」
風雅「 ... ねっ、七瀬 !!! 」
魁里「 ... そうかもね(ニコッ 」
詩「 ... わっ 」
詩「 笑った !?!? 今七瀬さん笑った !?!? 」
魁里「 なっ、僕だって笑うよ !!! 」
羅夢「 否黒い笑いでも猫かぶりでもなく !!! 」
魁里「 煩い !!! 」
・
魁里「 失礼します 」
ガラッ
魁里「 これありがとうございました 」
静江「 嗚呼、此処置いといてくれ、美味しかったかい ? 」
魁里「 はい、とっても 」
魁里「 あ、洗いますよ 」
静江「 いいからあんたは練習しな 」
静江「 あ、お嬢ちゃん 」
魁里「 なんです ? 」
静江「 あんた ___ 」
静江「 ___ 否、なんでもない 」
魁里「 ... 」
・
「 __ ざけんなよジジイ、毎日意味判んねー楽器作ってるだけの癖して 」
「 はっ、ガキンチョの御前になんざ サックスの深さも魅力も
判んねぇだろうよ 」
「 判りたくもねぇよこんなモン !!!! 」
「 ___ 君は絶対に孤独じゃない !!! って叫んでる感じの曲なのかな ? 」
狼架「 ... スッ 」
風雅「 あ、神楽、練習再開するなら俺も ___ 」
... ~ ♬
風雅「 ... え ... ? 」
・
魁里「 トコトコ 」
魁里( あ ... もう誰か吹いて ... )
パァッッッ
魁里( ... え )
バッ
魁里( ... 此れ ... 木漏れ日のサックスパート ... ? )
魁里( 荒削りだけど芯がしっかりしてる ... それにこの音色 ... )
魁里( ___ 凄く、優しくてあったかい ___ )
魁里「 ... っ !? 」
魁里( さ、サックスってっ ... )
魁里( 否でもまさかっ ... 彼奴の音はこんな深く惹き込まれる音じゃ ... )
タッタッタ
バンッ
狼架「 ... 」
~ ♪
魁里「 ドクンッ 」
魁里「 っ ... 」
魁里( 此奴っ ... )
風雅( ... なんだろう、この音色 )
風雅( 最初聞いた音より深く惹き込まれる ... 優しさに溢れる音 )
風雅( 芯は強いのに柔らかくて ... 最初に聞いた音ならまだしも、この音を
神楽が出してるとは思えない ... )
風雅( 滅茶苦茶 ... )
風雅&魁里( 惹き込まれる ... !!! )
~ ... ッ
狼架「 ... っと 」
狼架「 くそみすった ... チッ 」
風雅「 か、神楽 !!! 」
風雅「 い、今の何 !??! どうやってやったの !!?? 吹き方変えた !?!? 」
狼架「 は ? 何云ってんの御前 」
風雅( じ ... )
魁里( ジブンでは気づいてない ... ? )
魁里「 ... あんた、サックスは中学の頃からやってたらしいけど 」
魁里「 誰に教わったの ? 」
狼架「 あ" ? 御前には関係ねーだろ 」
魁里「 ッ ... 」
「 あんたには関係ないでしょ 」
狼架「 ... はぁッ 」
狼架「 ... 親父だよ 」
魁里「 ! 」
風雅( ... 七瀬 ... )
伊那「 なになにー、なんの話してんのぉ ? (ヒョコッ 」
詩「 もう練習再開する ー ? (ヒョコッ 」
狼架「 ... 」
風雅「 あ、う、うんっ ! 」
風雅&魁里「 ... 」
___ その日も夜遅くまで練習を重ねたけど
神楽の " 違う音 " は
その一度きりだけだった
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