9人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
♯3
「 くっそ ... 神楽の野郎 ... 」
「 部室占拠するわ色々しゃしゃってくるわ ... 気に食わねぇ 」
「 でも彼奴と直接やり合うのは自殺行為だぜ ? 」
「 俺にいい案があるぞ 」
「 直接やらずに彼奴を追い出せる 」
「 まじかよ !??! 」
「 どーすんだ ? 」
「 ... 再現すんだよ 」
「 去年警察沙汰になった神楽の事件を 」
・
〚 中庭 〛
風雅「 ... ところで神楽は ... ? 」
兎衣「 俺とセンパイの話、長くなりそうだからって云って 」
兎衣「 毎月必ず行ってるとこ行きました 」
風雅「 毎月必ず行ってる場所 ... ? 」
兎衣「 はい 」
兎衣「 ... 狼架の父親の家です 」
風雅「 神楽の父親の ... 家 ... ? 」
・
「 やだ、また来てるわよあの子 」
「 毎月毎月この日に ... 」
「 ... 懺悔のつもりかしら 」
ザッ
狼架「 ... 」
" 売地 "
狼架「 ... 」
_____ ようやく帰ってきたか餓鬼 !!! ほら、さっさと飯食え !!!
狼架「 ... 父さん ... 」
・
兎衣「 ____単刀直入に云うと、狼架と吹奏楽の接点は彼奴の父親
なんです 」
風雅「 お父さん ... ? 」
兎衣「 はい 」
兎衣「 両親が離婚して、狼架は母親に引き取られたんですけど 」
兎衣「 その母親が事故で亡くなってしまって 」
兎衣「 んで父親が引き取ったんです 」
兎衣「 中三の夏ぐらいでした 」
兎衣「 で、父親が 」
兎衣「 サックスを作る仕事だったらしいんです 」
風雅「 え !?!? 」
風雅「 作るって ... もしかして、あの大手工場の社員さん ... ? 」
兎衣「 工場長でした 」
風雅「 工場長 !?!? 」
風雅( じゃあ ... 神楽は本当に ... )
兎衣「 狼架の奴、あれでも今すげー丸くなったほうなんですよ 」
兎衣「 中学の時はもっと荒れてて悪かったんで 」
兎衣「 最初の内は父親とも喧嘩ばっかりしてて 」
兎衣「 でも ... 二人の間で何かあったんだと思います 」
・
狼架「 父さんの好きだった花、置いて帰るな 」
スッ
タッタッタ
狼架「 ... 」
___ 狼架、まーた喧嘩して帰ってきたのか
・
一狼「 おーおーこりゃまた派手にやられたなぁ 」
一狼「 どうだそろそろ凝りたか ? 」
狼架「 うっせ、相手が9人だったんだよ、高校生の奴 」
狼架「 でも勝ったし 」
一狼「 ... ほんとに餓鬼だな御前は 」
狼架「 あ" ? 」
一狼「 どれだけジブンを雑に扱えば気が済むんだ 」
一狼「 つまんなそうに生きやがって 」
一狼「 俺が御前だったらなぁ、御前の一億倍は楽しく生きてみせるぞ 」
狼架「 っるせぇぞ父さん、毎日楽器作ってるだけの癖に 」
一狼「 はっ、餓鬼の御前になんざ 」
一狼「 サックスの深さも魅力も判んねぇだろうな 」
狼架「 ... 先刻から餓鬼餓鬼 ... 」
狼架「 うっせぇんだよ !!!! 」
ガンッ
狼架「 判りたくもねぇよこんなもん !!!! 」
一狼「 ... ドガッ 」
狼架「 ッ ... 」
一狼「 ... だから餓鬼だっつってんだ 」
狼架「 ...ちっ 」
ダッ
一狼「 !! こら狼架 !! 何処へ行く !! 」
一狼「 狼架 !!! 」
____ ドガッ
ガッシャーンッッッ
「 がっ ... 」
「ぐあッ ... 」
狼架「 もう終わりかよつまんねぇな 」
「 さっすが狼架 - !!! 」
「 御前が居たら俺達無敵だな !!! 」
狼架「 ... おう 」
「 つまんなそうに生きやがって 」
狼架「 くそ ... 」
グーッ
狼架「 ... 」
ゴソゴソ
狼架「 ... はぁ 」
狼架「 8円 ... これじゃうまい棒も買えねぇ ... 」
______ 「 一寸一狼さん、また息子待ってるのかい ? 」
「 いい加減嫌になんないのあの不良息子 」
「 皆云ってるよ、もうよそにやったほうが ... 」
一狼「 不良だろうがなんだろうが彼奴は俺の息子だ 」
一狼「 彼奴が俺のことをどう思っててもな 」
一狼「 俺は彼奴の父さんで居たいんだよ 」
狼架「 ... ! 」
______ カンカンッ
一狼「 ... 」
狼架「 ... 」
一狼「 ! 」
狼架「 ギクッ 」
一狼「 なんだ、御前もサックスに興味を持ち始めたか 」
狼架「 んな訳あるか 」
狼架「 んなもんで ... 綺麗な音が出んのかと思っただけだ 」
一狼「 判ってねぇなぁ、この計算された美しい作りを 」
一狼「 ... まあ、御前もいつか判るさ 」
一狼「 サックスじゃなくても、最高の楽器と奏者が出会った 」
一狼「 最ッ高の演奏が聞けたらな 」
狼架「 ... 最高の ... 」
一狼「 どうだ少し吹いてみるか ]
狼架「 は !? なんで俺がッ ... 」
一狼「 吹けないとこ見られるのが恥ずかしいのか w 」
狼架「 ばッ ... !!! 」
一狼「 んじゃほら、サックス持って 」
狼架「 ッ ... 」
・
兎衣「 ____ 父さんと暮らす内、狼架も丸くなって 」
兎衣「 サックスにハマっていった 」
兎衣「 云っときますけど、一応狼架も結構な実力者ですよ 」
風雅「 そうなの ... !? 」
兎衣「 はい 」
兎衣「 サックスに夢中になっていった狼架は、そういう輩ともつるまなく
なりました 」
兎衣「 けど 」
兎衣「 そんな狼架を良くないと思う奴も居て 」
・
「 最近の狼架つまんないよなー 」
「 父さんとつるむようになってからじゃないか ? 」
「 最近サックスって楽器にハマってるらしいぞ ? w 」
「 んだよ彼奴気色わり w 女子かよ w 」
「 ... 許せないなぁ、俺、狼架の光のない目が気に入ってたのに 」
「 どうしたらまた光を失ってくれるかなぁ 」
・
兎衣「 そんな理由で彼奴等は 」
兎衣「 狼架の父さんの家を襲ったんです 」
風雅「 ... え 」
兎衣「 それも狼架のフリして 」
兎衣「 父さんと狼架の関係をぶち壊すようなやり方で 」
兎衣「 家も、父さんもボロボロにしたんです 」
風雅「 ! まさか警察沙汰の事件って ... ! 」
兎衣「 ... はい、狼架は警察に疑いをかけられ 」
兎衣「 父さんは怪我の影響で持病が悪化し、亡くなりました 」
風雅( ... 神楽は )
風雅「 神楽は ... そんな汚れた奴等に巻き込まれただけなの ... ? 」
兎衣「 ... まあそうですね 」
兎衣「 そりゃ狼架にも悪い部分ありますけど 」
兎衣「 まあその後其奴等特定して乗り込んで病院送りにしたら俺も警察に
連行されちゃったんですけどね 」
風雅「 おい待て御前もかい 」
兎衣「 だって俺のトモダチを傷つけたんだよ !? 狼架それが原因で
自殺しようとしたこともあったんだよ !??! 」
風雅「 じ、自殺ッ !!?? 」
兎衣「 そう自殺 !!!! 」
兎衣「 ... センパイ、狼架が此処の吹奏楽部に入りたがってるのは ... 勿論
サックスが好きだからってのもありますけど 」
兎衣「 狼架の実力ならもっと上の強豪校に行けたはずなのに、此処を
選んだ訳は 」
兎衣「 此処の吹奏楽部を創ったのが ___ 」
兎衣「 ____彼奴の父さんだからなんです 」
NEXT↪
最初のコメントを投稿しよう!