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Episode of « 狼架と桃亜 »
桃亜side
狼架に初めて会ったのは、小4の夏の初め頃
転校先で偶々席が隣だった
桃亜「 よろしく 」
狼架「 ... 」
桃亜( 無視かよ )
桃亜( 神楽狼架 ... )
「 ねえっ ! その子に話しかけない方がいーよっ !! 」
桃亜「 え ... 」
「 いっぴきおーかみ ? ってゆーの ? 」
「 クラスの誰とも仲良くないのー 」
「 そんなのと絡んだら君ハブられるかもよ ? 」
桃亜「 ... ふーん 」
「 心配しないで ! 君は私達の仲間に入れてあげるから ! 」
桃亜「 や、いいや 」
桃亜「 ありがと 」
「 え 」
狼架「 ... ジーッ 」
__ ワイワイッ
「 古宵さんってすっごい頭いいんでしょ !?!? 先生に聞いた !!! 」
「 すっご !?!!? 」
「 今度勉強教えてほしいー 」
「 古宵さん、この前できたあのでっかい家に引っ越してきたんだろ !?!? 」
「 えっ、あの公園近くの !?!? 」
桃亜( んで知ってんだ ... 怖 ... )
「 今度遊びに行ってもいいか !? 」
「 ずるいぞ !!! 俺も行きたい !!! 」
「 ... 」
・
「 転校生さぁ、調子乗ってない ? 」
「 思った ! 男子転校生にベタ惚れじゃん !! がちうざーい !! 」
桃亜( えー ... 早速 ... ? )
「 でかい家住んでっからなんだっつの 」
「 自慢してんじゃねーよ 」
桃亜( してねー ... )
「 折角私が声かけてあげたのにねー 」
「 転校生明日からハブ決定 ... 」
狼架「 だっせ 」
桃亜「 ! 」
「 は ... 」
狼架「 すげーだせぇな、御前等 」
「 なっ ... 」
桃亜「 っ ... 」
桃亜「 俺に( バッ 」
桃亜「 文句あんなら、直接聞くけど ? 」
「 !! 」
「 い、行こ !!! 」
「 うん !!! 」
タッタッタ
狼架「 ...( タッタ 」
桃亜「 あ 」
桃亜「 ありがとな、神楽 」
狼架「 !? 」
狼架「 ... 」
桃亜「 ... ? 」
狼架「 キョロキョロ 」
桃亜「 否御前に云ったんだけど 」
狼架「 ... 」
狼架「 ブワッ //// 」
桃亜「 ... え 」
狼架「 ダッ 」
桃亜「 え" っ !?!? 」
桃亜( え" ぇ" ~ ... どういう感情 ... )
この日から数年経って
狼架が初めてお礼を云われた瞬間だったと知る
・
「 __ テーマは " みんなのまち " です ! グループは2人以上で組んでねー 」
「 一緒に組もー 」
「 駄菓子屋テーマにしようぜ !!! 」
ワイワイッ
狼架「 ... 」
「 古宵さんっ !!! 良かったら私達と一緒に ... 」
桃亜「 神楽 一緒に組も 」
狼架「 え 」
桃亜「 資料探しに図書室行こーぜ 」
・
狼架「 ... 」
狼架「 なん ... で ... 」
狼架「 俺と組んだら御前 本気でハブられる ... と思う 」
狼架「 ... からやっぱ俺 ... 1人で ... 」
桃亜「 俺勉強できるし運動神経いいし 」
桃亜「 序に喧嘩もつぇーから大丈夫 」
狼架「 ... 」
桃亜「 御前が俺と組むの嫌ならやめっけど 」
狼架「 ! やっ、じゃないっ ... 」
狼架「 ... あ 」
狼架「 あんがと ... 」
桃亜「 ... へへっ( ニコッ 」
一匹狼とか無駄にかっこよく形容されてたけど
本当は口下手だけど心優しい少年だった
桃亜「 つかなんで最初の時無視したの 」
狼架「 え ... 」
桃亜「 挨拶したろ 」
狼架「 俺に云ったと思わなくて ... 」
・
「 あら ~ 、いらっしゃい ! 桃亜のお友達ね !! 」
桃亜「 家でグループ研究の課題やるから 」
「 はいはい ! 上がって ~ ! 」
狼架「 ✨ 」
狼架「 ___ ... お、御前の母ちゃんすっげぇ綺麗だな !!! 」
桃亜「 そーか ? 別に普通だろ 」
ガチャッ
桃亜「 此処父さんの書斎 」
狼架「 ! 」
桃亜「 資料になりそうな本、あっかも 」
狼架「 かっ、勝手に入って怒られねぇ ... ? 」
桃亜「 そんぐらいで怒んねーよ 」
狼架「 え ... なんだ ... 」
・
狼架「 ... ? ?( プスプスッ 」
桃亜「 おい、大丈夫か神楽 ... 頭から煙が ... 」
コンコンッ ガチャッ
「 2人共 ~ 、お茶とお菓子持ってきたわよ ~ 」
「 休憩しましょ 」
狼架「 っ ... すっ ... 」
狼架「 すっげぇ !!!! なんだこれ !!!!! 」
桃亜「 え、何って ... 」
狼架「 こんなの見たことねぇ !!!! ✨ 」
「 ふふ、チョコレートケーキよ、おばさんの手作り 」
狼架「 手作り !?!?!? 」
狼架「 こ、此れほんとに食べていいの ... ? ✨ 」
「 勿論 」
狼架「 ... ハムッ 」
狼架「 ... !! ✨ 」
狼架「 ガツガツッ 」
「 ... 」
桃亜「 ... 」
「 ニコッ 」
・
桃亜「 __ じゃあまた学校で 」
桃亜「 帰り道判るか ? 」
狼架「 だいじょーぶっ 」
「 狼架くん、此れ先刻のケーキ 」
狼架「 ! いいの !? 」
「 ご家族と食べて、生物だから今日中にね 」
狼架「 っこんな美味いのっ、お母さんも食べたことないと思うっ !!! 」
狼架「 絶対喜ぶ !!! 」
狼架「 ありがとうおばさんっ !!! 」
「 どういたしまして 」
桃亜「 ... 」
狼架「 じゃーなーっ !!!! 」
程なくして
狼架の母親は男と遊んでばっかりで家に殆ど帰ってきていないこと
父親は何処に居るかも判らない状況だと知った
母親のことは 色々噂されていたけど
狼架は何も云わなかったし
俺も聞かなかったから
今も本当のことは知らない
狼架「 ... へへっ 」
狼架「 お母さん 、今日は早く帰ってきてくれるといいな 」
・
狼架「 .... 」
" 0 時 "
「 生物だから 今日中にね 」
狼架「 ... あーあ、もったいね 」
狼架「 こーんな美味いモン、食べ逃してやんの 」
狼架「 あーでも逆に俺はラッキーじゃん ! 1人で3つも! やりーっ !! 」
狼架「 すげぇっ ! やっぱうめぇ !!! 」
狼架「 ほんと美味い ... これ手作りとか ... 」
狼架「 っ ...( ボロボロッ 」
狼架「 ... グシャッ 」
___ それから
俺は狼架とよく一緒に居るようになった
狼架も頻繁にうちに来るようになって
隣に居るのが当たり前になった
その一方で
狼架と母親の関係はどんどん悪化していき ___
小6の秋 事件は起きた
桃亜「 狼架 !? なんだよその怪我っ !!! 」
狼架「 別になんでもない 」
桃亜「 否なんでもなくねぇだろっ ... 」
「 神楽 ! 」
「 一寸来なさい 」
母親と口論の末、家を飛び出した狼架は
街で中学生に絡まれ 喧嘩に発展
しかも三人相手に
勝ってしまった
そしてこのたった一度の喧嘩が
狼架の日常を狂わすことになった
喧嘩相手の仲間に 噂を聞いた不良連中
狼架に絡んでくる奴は日に日に増え
桃亜「 狼架 !!! 」
桃亜「 御前その怪我 ... また喧嘩ふっかけられたのか !?!? 」
桃亜「流石にやべぇだろ !!! 何か対策考えないとこれからもっと ... 」
狼架「 別に 」
狼架「 大した事ないし 」
桃亜「 否でも ... 」
狼架「 別に 」
狼架「 御前に関係ねーだろ、口出ししてくんな 」
狼架は人が変わったように 俺を避けるようになった
それからすぐ中学に上がって、クラスも離れると
毎日一緒に居たのが嘘みたいに
お互い顔を合わせることはなくなり ___
「 なあまたC組の神楽喧嘩したって 」
「 彼奴やばくね ? 」
「 こないだもさー 」
狼架の噂だけが耳に届いた
桃亜( やっぱ中学に上がってからエスカレートしてる ... )
___ 一番最初に狼架が絡まれた時
俺が一緒に居れば 逃げるなり適当に負けるなりしてやれたんじゃねぇのか
目ぇつけられずにすんだんじゃないのか
そしたら今も彼奴は ___
桃亜「 ... 」
狼架「 ... 」
桃亜「 あ ... 」
桃亜「 狼 ... 」
狼架「スッ 」
桃亜「 ... 」
__ 同じ頃
俺の母親は芸能界で有名なり、忙しくなった
だから家に居ることが少なくなった
俺も家に1人で居ることが多くなった
桃亜( ... 狼架って )
桃亜( ずっとこんなんだったんかな ... )
桃亜「 ... 」
そして中1の終わり
「 古宵っ !!!いるかっ !!! 」
桃亜「 先生なんすか 」
「 すぐに帰る用意しなさい !!! お母さんがっ ... 」
桃亜「 ... 」
撮影中に倒れて、緊急搬送されたという連絡だった
桃亜( ___ 朝まで元気そうだったのに ... )
" 手術中 "
桃亜( あ ... まずい駄目だ )
俺があの時狼架と一緒に居たら それくらいのことが考えられてたら
俺が朝、母さんの異変に気づけてたら
全部
全部
俺の所為
桃亜( 辞めろ、変なこと考えんなッ ... )
桃亜( ... 駄目だ、堕ちるッ ... )
狼架「 桃亜っ ... 」
桃亜「 ... 」
桃亜「 ろ ... か ... 」
桃亜「 え ... なんで ... 」
狼架「 御前の担任に無理やり聞いた ... 先刻見かけた時 」
狼架「 御前様子変だったから 」
桃亜「 ! 」
狼架「 おばさんは ? 」
桃亜「 ... 今親父が執刀してる 」
狼架「 そうか、なら 」
狼架「 絶対大丈夫だかんな 」
桃亜「 ! 」
桃亜「 ... ポロッ 」
狼架「 え" っ !?!? 」
それは俺が初めて
人前で ... トモダチの前で泣いた瞬間だった
それだけ、狼架に心を許して、信頼していたんだと思う
桃亜「 ... ん、そうだな ... 」
___ フッ
桃亜「 父さんっ ... 」
「 桃亜、 」
桃亜「 母さんは 、? 」
「 もう大丈夫、心配かけたな 」
桃亜「 ... はっ 」
桃亜「 ほんとまじっ ... 」
狼架「 ... フッ 」
「 ん、君は ... 狼架くんかな ? 」
狼架「 え ... 」
「 妻や桃亜から話はよく聞いてるよ 」
「 娘に付き添ってくれていたんだね、ありがとう 」
狼架「 ! 」
「 ... その怪我痛そうだね、喧嘩 ? 」
狼架「 ! こっ、此れはっ ... 」
狼架「 だっ、大丈夫です !!! 」
狼架「 俺今はもう桃亜とつるんでねぇしっ !!!! 」
「 え 」
狼架「 桃亜と居るとこ見られたりもしてないだろうからっ !!! 」
狼架「 こういうの巻き込んだりとか ... 絶対 ... 」
狼架「 しないんで ... 」
桃亜「 ! 」
___「 御前に関係ないだろ 」
「 口出ししてくんな 」
桃亜「 っ ... 」
「 ___ 私が心配したのは、純粋に君の怪我のことなんだが ... 」
「 あのね狼架くん、うちの子は女の子だし、危険に晒したくないと思うかも
だけど 」
「 娘は心も強いし体も強い 」
「 だから 」
「 何かあったら 真っ先に頼りなさい 」
「 トモダチのピンチに巻き込まれたくらいで 駄目になる子には
育ててないよ 」
狼架「 ! 」
桃亜「 ! 」
「 じゃあまた後で 」
狼架&桃亜「 ... 」
狼架「 御前の父ちゃん ... すげーかっけーな ... 」
桃亜「 俺も一寸思ったわ ... 」
狼架「 ... いいな 」
桃亜「 ... ゴンッッ 」
狼架「 て"っ 」
狼架「 いきなり何すんだてめぇ !!! 」
桃亜「 うっせばーか 」
桃亜「 勝手に1人になろうとすんじゃねぇ 」
狼架「 ! 」
___ きっと狼架は、ジブンが誰かにとって大事な存在だなんて
考えたこともないんだろう
桃亜「 なんだ、泣くのか ? 」
狼架「 は ? 誰が泣くかボケ 」
桃亜「 んだとこの大馬鹿野郎が 」
狼架「 莫迦ゆーな莫迦 」
狼架「 ばーか 」
そう思うと やりきれなくて 悔しくて
無償に腹が立った
___ だから俺はこれからも
当たり前に狼架の隣にいようと思う
NEXT ↪
後々兎衣と狼架、桃亜の出会いも書くのでお楽しみに 。
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