マイ・パニック・エンディング

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そうして、私が自分自身の素顔を「自分の顔」と認識出来なくなってから3年後。 幸いなことに私の病気は誰にもバレることなく――私は依然、女優としてトップの地位を走り続けていた。 1クールごとに必ず主演ドラマの打診はあるし、バラエティ番組でも新しく2本のレギュラーが決まった。 朝のニュース番組の曜日レギュラーにも決まったし、かなり有名な映画監督から映画の主演のオファーもいただいた。 文字通り、私の芸能生活は順風満帆だったのだ。 なのに――。 私が芸能人として売れれば売れる程、私の病気は悪化していった。 しかも、最近では自分の「素顔」だけではなく、「声」すらも、自分のものと認識出来なくなって来てしまったのである。
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