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 教室に入ると、いつもと違う視線を感じた。誰もが私の顔色を伺うように、恐る恐るという感じで一瞥(いちべつ)しては、すぐに目を逸らす。  このクラスになって一月半。私は大人しい女子というカテゴリに分類されていたと思う。授業中に自分から手を挙げたことなんて一度もないし、休み時間も大きな声で笑ったりしない。男子や、彼らとよくつるんでいるような女子たちには話しかけるのも一苦労で、交友関係は限られている。  だから昨日の事件はみんなにとっても衝撃的だったと思う。おとなしくて控えめな杉野さんはいなくなってしまった。何せ、ひとりの音楽教師の体調を害してしまったのだから。いまや、某ガキ大将顔負けの人間兵器である。 「おはよう」  そんな状況でも、友人のルミは変わらない様子で私の席まで話しかけにきてくれた。 「聞いて聞いて、昨日買ったコンビニのシュークリームがすごく美味しかったの」  ちょっぴりふくよかな彼女は性格も温厚で、とてもマイペース。今の私には、そんなルミがお天道様に見える。ありがとう、ルミ。ずっと友達でいようね。
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