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「昨日の話、考えてくれた?」
翌日、登校してきたばかりの長岡くんは、私の席にやってきた。
「何度言われても、無理なものは無理だって」
私は毅然とした態度で断る。これ以上、押し問答を続けるつもりはない。しかし昨日の今日とあって、長岡くんもそれほど期待していなかったのか、「まいったなあ」と苦笑いを浮かべただけで帰っていった。
すぐさま血相を変えてやってきたのはルミである。思わず「どうしたの?」と尋ねると、ルミは顔を近づけ、声を潜めて言った。
「ハルカちゃん、長岡くんに告白されたの?」
私はぽかんとしてしまう。そして直前のやり取りを振り返り、慌てて首を横に振った。
「まさか! ちょっと頼まれごとをされただけ」
ルミは「なんだあ」と肩を落とす。
「告白なんてされるわけないじゃん」
私はモテないことだってちゃんと自覚している。第一、恋愛なんてまだ早いと思う。社会で必要な最低限の知識を身につける、それが義務教育の目的なのだし。
「けど少し前、誰かがハルカちゃんのこと可愛いって言ってたよ」
「その話、詳しく!」
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