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楓歌は空になった瓶を見やる。「私、歌手になりたい」
「なれるよ。テレビで聴きたいな、君の歌声」僕もつられて瓶を見る。底に残っていたコーラを飲み干した。
すると、楓歌はベンチから立ち上がった。「絶対になってやる。それまで見守っててよ」
約束、と言って、彼女は小指を僕の顔に近づけてきた。
そして、約束の指切りをした。決して切れてしまわないように、と強く握りながら、彼女は語った。
「私って歌を歌うために生まれてきたような名前してるでしょ? まるで両親が歌が上手くなりますようにって願いを込めて付けたような」両親には会ったことないんだけどね、と彼女は溜め息混じりに付け加えた。
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