俺様執着男が忠犬になれと命じてくるがアンタに飼われる気などない

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***  セックスをした後、相手がどうでもよくなるこの男は、結局五度くらい俺の中を濡らしてコトを終えると「店ん中が青臭くなった。どう責任取ってくれる」などと冷たく言い放った。 「知るかよ! アンタのせいだろ! クソオヤジ!」 「まぁ、トイレでも貸してやるから腹ん中掻き出して来い」  冷たく言い放った男は、俺の存在になどもう興味を無くしたみたいに窓を開けて店内の換気を始めた。 (ひでぇ塩対応だな、オイ)  俺は言われるがまますごすごとトイレを借りて腹ん中にたくさん飲み込まされた(アイツ曰くミルク)を情けなくも自らの指で掻き出す。  優しい男はシャワーまで俺の手を引いて綺麗に洗ってくれるモンだが、あの男にはそんな気は微塵もないようだ。 (ってか!)  よくよく己を見ると、Tシャツが自分で吐き出した白濁でベタベタな上に、両手首は戒められていたせいで真っ赤になっている。  いかにも犯されてきました感満載な自分に目眩がした。  俺は思わずポケットからスマートフォンを取り出す。 「店長、さーせん……パソコンは預けたんっすけど、急に腹痛くなったんで今日はこのまま早退させてください」  それだけ連絡してトイレから出ると、男は新たなる客とにこやかに接客していたので、そのまま無視して素通りしようとすると――。 「(はるか)くん」 (あ?)  寒気がした。  コイツ俺の名前覚えていやがったのか。 「なんすか、京馬(きょうま)さん」 (つーか、クソオヤジ) 「預かったパソコン、修理出来次第連絡するので取りに来てくださいね?」 「あ、あざっす……じゃあ俺はこれで……」 「待って、遥くん」 (今度はなんだよ、うぜぇな)  俺に近付いてきた男はそっと耳元で「これは恋愛じゃないからな? 間違っても俺に恋心は抱くなよ? 犬」と囁いてきた。  俺はいっそ清々しいくらいに爽やかな笑顔を向ける。 「京馬さんこそ勘違いしないでくださいね? 俺はお客様なので。では失礼します」  笑顔で会釈して店の自動ドアをくぐり抜けると、俺はその場で壁に盛大な蹴りを入れた。 (だーれが恋心なんか抱くか、ジジイ!)
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