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一度吐き出されている粘着質な液が鼓膜にこびりつくような音を立て、中で泡立っているのがわかるほどに、ぐちゅぐちゅと音を立てている。
さしずめ泡立て器に掻き回されるホットケーキミックスのように甘く融けた俺の身体は、男の灼熱に焼かれ美味しく召し上がられているんだろうか。
(なんかそれ、笑える)
荒い吐息の中、ククッと喉奥で笑ったら、余裕な態度が面白くなかったんだろうか――男は俺が手慰んでいた情欲を背後から握りこんで来て「余裕だな、犬」と笑った。
「さっきから犬、犬、うっせぇんだよ」
「発情した犬だろうが。首輪も付けてやろうか?」
言って、男は背後から首を絞めてくるからケホッと咽せたら、突き入れる腰までも行き止まりを過ぎるほど抉ってくるから、快楽は脳髄を犯し、目の前に火花が散って俺は自身の喉元に白濁を飛ばした。
上半身を支えていた二の腕からは力が抜け、ベッドに突っ伏すけれど、男の動きは止まらず、腰を持ち上げられて脱力した身体を揺すぶられ続ける。
極めた身体を揺すぶられ続ければ、乾いた絶頂が何度も訪れ、まさに犬そのものだろう――口からはだらしなく涎が垂れ続け、はっはっと荒い呼吸を繰返す。
「節操のない犬だな。いま美味いミルク飲ませてやる」
言葉と共に、臍の奥にもったりとした(こいつ曰くミルク)を注ぎ込まれ、腹が温まる感覚が心地良いのは本当に犬かもしんねぇ。
セックスをした後、相手が愛おしくてたまらなくなるタイプと、相手がどうでもよくなるタイプに別れるらしいが、コイツは後者だ。
またすぐに全身ベトベトの俺を放置して、煙草に火を点けた。
だけど――。
「なぁ、お前」
「あ?」
「もし次があんなら俺の忠犬になれよ」
は?
確かに身体の相性は良かったが、こんな犬呼ばわり塩男と二度会う気なんかさらさらねぇよ。
「次はねぇと思うけどな。誰が犬だ」
「ま、次があったらの話しさ。お前あの店の常連か? 気が向いたらまた会いに行ってやる」
「へいへいそりゃどうもー」
(こんなちょっと危ねぇオヤジ、もう関わらない方がいいな……忠犬になれってどんな癖だよ)
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