バンドに入った日

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 「ちょっと孝則君ー!私のギターパート難しすぎるでしょ!もっと簡単に作って!」  「む、無茶言うなよ!波瑠の数倍簡単だぞ!」  「波瑠!」  「は、はい?」  「私の歌が入る時、Cメロのとこ!もうちょっとギター控えめで弾いてよ。声聞こえなくなるじゃん!」  「す、すびませんでした!」  バンドに入って三ヶ月。毎週一緒に練習していたら、なんだか慣れてきて、居心地よくなっちゃったんだよね。  二人ともわりとイケメンなんだけどさ、なんかちょっと惜しいんだよねーっ。    「ね?」  「「はい⁉︎」」  「そろそろもう一人入れない?ドラムほしいし!あ、孝則君も波瑠君もドラムもできるんだっけ?じゃベースでもいいや。ベースできる人、誰かいないの?」  「そうだな。それは俺も前から思ってた。だが中々いいやついなくてな」  「ね、イケメン募集して!あんたたちよりも顔良くてセンスあるイケメン」  「む、無茶言うなよ!」  「ほんと失礼だなこの女性(ひと)。一回襲ったろか」    「こら!波瑠。やめんかい!」  「もう波瑠〜、あんたは年下なんだから生意気言わないの。そんなことしたら、大好きな孝則君に嫌われちゃうよ?」  「孝則君!!やっぱボーカルこの人じゃなきゃダメっ!?」  「……。すまんが、ダメだ」  だるそうなため息を吐きながら、波瑠がスマホを見つめる。その時、何か目に留まったのか、目を見開いた後すぐこちらを向いた。  「孝則君、那月ちゃん!新しい募集きたよ。めっちゃイケメンじゃね?コイツ!」  「どれどれ。……っ。!こ、この子に決めよう」  「まて!勝手にオッケーすんな!演奏聴いてからだぞ!」  これはまだ、私がバンドに入ったばかりの話。    
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