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「だから、何回も言ってるじゃない!バンドは組みません!それに、あなたたち怪しいし」
「あー。まあ、そーだよねぇ」
断り続ける私を見つつ腕組みしながら男の子は頷く。
「知らない男二人に誘われて、ほいほい付いていかないよね。普通」
「……わかってくれたの?」
「じゃあさ、俺たちの演奏、一回聴いてよ。次の土曜日、ここでライブするから」
そうやって渡された、派手なフライヤーを見つめる。
こんな紙切れ、すぐに偽造できそうだけど、まあ、ほんとにライブするのかもしれないし、行ってみるか。
って、ライブハウス、ルイートじゃん!何組も人気アーティスト、人気バンドを排出した、結構有名な所でしょ。
「わかった。見に行く」
「マジで⁉︎やった!」
「ライブやってなかったら、すぐ帰るからね!」
「はいはい」
「それにしても、もう一人のピアス男は?」
「え、ああ。孝則君のことか」
「君、あいつの手下なのっ?」
「は?」
「君ばっか来るじゃない!私の所。あいつはさ、陰で隠れて、じっ…と睨むように様子見てさ、君それでいいの?」
「え、あ。あははは!そっか。手下か。おねえさん、面白いね!」
「………」
「ま、いいや。じゃ、とりあえず土曜日待ってるから!」
「え!」
用件が済んだからか、男の子は早くこの場を離れようとしているふうに見えた。
彼の様子から、私の声以外に興味なんてないことは、あからさまだ。
きっとライブは嘘でなく、本当なんだろう。
「あ。それと孝則君が側に来ないのはね、多分、おねえさんと話すのが、恥ずかしいからだと思うよ?」
「……え?」
まじで?ピアス男、コミュ症なの?
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