歌う花

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「この花は、一番最初に産んだ子猫を探していたんですね。エサを探しに行っている間にカラスにでも取られてしまったのでしょう。そのあとたくさんの子を産んだというのに、ずっと心のどこかで最初の子猫たちを探していたんです。やっと、自分も子猫たちと同じ場所に行くのだと納得がついたようです」 猫の花は歌うのをやめた。とたんに花びらは枯れて見るみるうちに種子が実った。種子は弾け、四方に飛び散った。 「これが、花の最期ですか」 「ええ。でも、ここまで到達できる花はそう多くはありません。途中で恨みの心だけを募らせて、腐れて消えてしまう魂もたくさんあります。私は行者様と一緒にそのような花をたくさん見てきました。私は次第に、母の歌を聞いてみようと思うようになりました。歌も歌えずに腐れてしまうのは不憫だと思うようになったのです。 何度握りつぶしても懲りもせずに花をつけるのは私に聞いてほしい歌があるのかもしれないとも思いました。母が愛した兄妹たちがきくこともできなかった歌を私が聞くのはある意味痛快でしょう? 母の花が開きました 『おまえはぁああ、どうぅしてわぁたしをぉ』
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