歌う花

私は妻に、別れを申し出ました。妻は一言も言葉を発することなく、黙って私の話を聞いていました。私が他の女性に心を移すなど思いもよらなかったようです。

妻が死を選んだのはその翌日でした。

なぜですか。プライドですか？　私のような男から別れを告げられたのが気に入らなかったのですか？　愛があっただなんて、信じられない。

なぜ妻は、死んだのですか？」

「答えはあなたが聞くのです。時間をかけて。何度でも。咲いては枯れて咲いては枯れて。彼女の歌を聞いて。あなたの歌を聞かせて。」

女は銀色のナイフで男の胸を一突きした。ぐるりと手首をひねって男の心臓を取り出した。

「心臓だけでいいのに。なぜみんな体ごと持ってくるのかしらね。奥様。あなたの心臓もいただきますよ」

女は銀色のトレイに二つの心臓を載せた。

「明日にでも、日当たりのいい場所に植えて差し上げます。存分に歌いなさい。あなたの憎しみを。あなたの悲しみを。あらゆる苦しみの底に愛おしい感情があるのなら、きっといつか実を結ぶでしょう」

草原にはいつしか夕闇が訪れていた。