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せっかく防音室作ってもらったのに怒られちゃうかも、と考えたところでテーブルの上のスマホの振動音が聞こえた。
また嫌なメッセージかもしれない。
聞こえないふりをしていたら、スマホがまた震えた。それから何度も何度も振動する。さすがに私はスマホを手に取った。
SNSの通知だった。おそるおそる画面を開いて、私は息を呑む。
『え、トーカちゃん大丈夫?』
『あらら無理せずにね』
『今週は火曜日なしかあ……お大事に!』
さっきの私の投稿への返信だった。それも大量の。
メッセージを読んでいる間にも次々と返信コメントは増えていく。
『来週いけるかな。楽しみだけど無理せずで』
『俺の火曜日を灯してたのはトーカだったと実感』
『焦らすねえ。来週のライブますます楽しみになっちゃうな』
『トーカさんお大事に!!』
言葉の数だけ胸の奥に火がともる。
やわらかく揺れる炎は温かいのに、手の震えは止まらなかった。
画面が見えなくなって私は一度スマホを置く。なおも通知は鳴り止まない。
……バカだなあ、私。
できるとかできないとかどうでもいいのに。
小さな画面に次々と咲くコメントを見ながら涙を流す。
こんなとこで何してんだよ。
抜け落ちたナイフを蹴り上げて、私は再びスマホを手に取った。
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