2.

7/8
前へ
/24ページ
次へ
下手に話を逸らせばきっと、不安と疑心の増幅に繋がる。 「説明するから」 「……っ」 緊張した面持ちの麻呀に優しく微笑みかけ、史呉は静かに今起きている事の状況を説明した。 自分達の関係性が、捕食者(フォーク)被捕食者(ケーキ)に変化したこと。 これから麻呀の味覚は、史呉の体液や皮膚にしか反応しなくなること。 恐ろしい未来はあくまでも可能性の話なので、史呉は今はまだ伏せておくことにした。 「明日からは、この安定剤を飲んで」 甘い匂いも他の症状も緩和されるはずだから、と続けピルケースを手渡す。 「……分かった」 まるで小さな子供のように背中を丸くした麻呀は、そう小さく頷いて。 今にもバラバラに壊れてしまいそうな相手を前に、手を伸ばさずにはいられなかった。 抱きしめずにはいられなかった。 大丈夫だよ、安心して。 そう言えたなら、どんなに良かったか。 安定剤は、捕食者(フォーク)化を完治させる薬では無い。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加