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〜Ⅴ 法皇〜
「おい尚弥。起きろ、朝だぞ。」
既に時計の針は12時を回っていた。
この日は1週間に一度の協会に行く日だ。
(キリストは既にこの世にはいないが、教えを伝承している人間がいる。その人間たちの教えを聞いたら、何か思い出すかもしれない。)
秀斗は少しでも尚弥の母親の手がかりが欲しかった。下界へ来て半年が経とうしている今、晴美が持って来た写真以外何も情報が無い。
「もうお昼だ。起きないと協会には置いてくぞ。」
眠そうに仕方なく尚弥はリビングまで起きてきた。
「あの協会へ行くの?綺麗だもんね。牧師さん。なんてったって牧師さんは女性だから・・・」
尚弥は少し呆れ気味だ。
(なんで父さんはあそこまで女にこだわるんだ。単に母さんを探すためか?それとも・・・?まぁ〜そのうちわかるさ!!)
尚弥は軽食を済ませ慌てて秀斗と一緒に協会へ出かけた。
協会には数人の信者が居たが秀斗等が来ると、
「皆さん。今日は先約がいますので申し訳ありませんが、またのおこしを。」
女性の牧師は信者を帰らせた。
「牧師さん。マリア像を見せて貰えるか?いつもマリア像を見ると女房の事を思い出せる気がするんだ。」
秀斗はマリア像を眺めながら聖書を読み始めた。聖書を読むと秀斗は精神統一が出来、タロットのリーディング(連鎖読み)がし易くなる。
その姿見ている尚弥はもしかしたらと秀斗に近寄り、
「もしかしたら牧師さんが母さんじゃないの?キスしてみたらどう?」
秀斗を思いもよらぬ事を尚弥から言われ、まるで死角を刺されたかのように、
「そうだな。何故今まで気づかなかったんだ。よし、やってみよう!!」
秀斗はそうと決まれば聖書を読むのを止めて、牧師に歩み寄った。
「牧師さん。俺等親子はこの子の母親、俺の女房を探している。協力して欲しい。」
「いいですよ。神は貴方がたの味方です。」
女性の牧師は。そう言うと次の週の日曜日に協会で落ち合う約束をした。
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