0人が本棚に入れています
本棚に追加
〜Ⅶ 戦車〜
アリエルを連れて秀斗が家に戻ると、尚弥とウリエルが待っていた。
4人はウリエルが持って来た写真と、アリエルが持って来た紙切れに書かれた『菅野亜香里』という文字に手を重ね、居場所を掴むため、精神統一を始めた。
4人は天空界の住人だけあって下界の人間の痕跡を探すのは容易いはずだが、何故か亜香里の居場所だけはまだ判らずじまいだ。
するとアリエルはタロットカードを手にした。
「尚弥君。私が占う。お父さんと違って確実に当たるから、心配しなくていいよ。」
アリエルは先日の秀斗と尚弥のやり取りの一部始終を知っていた。
「アリエルさん・・・牧師さんを信じます。」
尚弥はやけに素直だった。アリエルを信じるしか他には手立てがなかったからだ。
「おいおい。俺がまるでそこら辺の当たらない占いペテン師みたいじゃないか?!」
秀斗はアリエルと尚弥の会話にいささか腑に落ちない様子だ。
「リーディングは私の方が上手よ。」
晴美は展開(カードを表向きに置いていくこと。)したカードを読み始めた。
「南に1000キロ行った洞窟ので中に亜香里さんはいるみたい。」
晴美はカードを見ながら少し気になる事があった。
(何故、洞窟なんかにいるのかしら?誰かに捕らえれてるのかしら?・・・何か引っかかる。)
「南に1000キロって言えば下界と天空界の境界線あたりだ。確か、天空界の入口だ。本当にそこに亜香里さんがいるならば、もっと早くに気がつくはずだ。」
牧師の何か引っかかる様子だ。
ふたりを見ていた秀斗は、
「行くだけ行ってみよう。例え亜香里が居なくても、何かヒントはあるかもしれないからな。」
「僕は部屋に残るよ。父さん達みたいに羽根があるわけじゃないから、そんなに遠い場所までは行けないよ。母さんを見つけて此処へ連れてきてよ。」
尚弥はそう秀斗たちに言うと自分の部屋に戻った。
3人の大天使たちは羽根を広げ空高く舞い上がり、ものすごい勢いで洞窟へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!