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〜Ⅷ 力〜
洞窟に辿り着いた。辺りはすっかり日が沈んでいた。
秀斗、晴美、牧師の3人は洞窟の中へと入っていった。
洞窟にはギリシャ文字で『禁断の果実を食べてはいけない。』と書かれていた。3人はその意味が何を表しているのかがわからなかった。この先に居る女性に出逢うまでは。
「ようやく来たわね。ラファエル。そしてウリエルとアリエル。」
3人は度肝を抜かれた。大神ゼウスの妻ヘラである。何故ヘラがこんな所に居るのか?全く分からない。
「ヘラ。何故貴女が此処に居るのだ。私達は我が妻、菅野亜香里を探している。もし貴女が鍵を握っているならば教えて欲しい。亜香里の居場所は何処だ。」
秀斗はヘラが少しでも機嫌を損ねたら大神ゼウスが黙ってはいない事は気づいていた。しかし今は1日も早く亜香里に会いたい。秀斗は我をもすがる気持ちでヘラに問いかけた。
「ラファエル。記憶がまだ戻って無いのですね。亜香里と言いましたね。カリストは大神ゼウスの元に居ます。しかし貴方が下界へ降りた時に一緒に下界へ行きましたよ。貴方と共に。」
ヘラはそう答えると洞窟の奥深くに消えていった。
3人はその場に立ち尽くした。
カリストとは大神ゼウスに寵愛を受けている女性だ。
何故、大神ゼウスが罰則をラファエルに与えのか?これで辻褄が合う。
そしてカリストは一緒に下界へ降りてきた者・・・
3人は血相変えて尚弥の元に帰った。
家に戻ると、ウリエルの持って来た写真と同じ女性が立っていた。
「カリスト・・・」
秀斗は懐かしさと切なさで思わずカリストを強く抱き寄せた。
晴美とと牧師はその光景に満足したかのように秀斗の家をあとにした。
「尚弥・・・いやカリスト。何故、俺の前を去ったんだ。君のためならば大神ゼウスの寵愛など私には気にも止めない。一緒にいられるだけでいい。もう何処にもいかないでくれ。」
秀斗はそうカリストの耳元で囁くと、淡く熱い夜をふたりは過ごした。
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