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1.モノクローム
これはいつもの日常、特段何かをされてきたわけではない。
ただ窓越しに空を眺めて、ゆっくりと流れていく雲を眺めている。BGMは先生、またはクラスメイト達の声。それもやがて消えて、僕の日常は終わる。
ただそれを繰り返す日々、誰も……そう誰も僕をいないモノとしていた。
世界は人がこんなに溢れているのに、僕だけ切り取られた別世界にいるのかもしれない……。
ずっとそうだった、小さい時から、皆が当たり前に感じることが僕にはわからない。楽しくもないことに何故笑うのか、そう簡単に嬉しいと思えるのか。
「お前といても楽しくない、何考えているのかわからない……気持ち悪い」
目すら合わせることなく、誰も彼もがそう言葉にしていく。
こうして徐々に僕の周りから人はいなくなっていった。でも寂しいと思ったことはない、人間関係の煩わしさに振り回されるぐらいなら丁度いいとさえ思っていた。
話す相手は自分の頭の中にいるもう一人の自分で充分、だから問題は無い。
そう、これが僕にとって普通の日々であり――そして永遠に続くと諦めていた。けれど違うかもしれない、と願ってもいいだろうか――。
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