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第二章
朝の食卓にはいつも通り、妻と二人きり。
40代の妻の頭には、歳の割に白髪が目立っていた。
真人と一緒にいる時間が長い分、私より苦しんでいるのだ。
何とか元気付けてやらないと、今度は景子が倒れてしまう。
私はリビングのテーブルに座るや否や、妻の景子に声を掛けた。
「真人の事は俺が何とかする。
おまえは心配するな」
妻は下を向いて黙々と食事をしている。
返事はない。
「真人は俺の子だ。
必ず立ち直れるさ」
そう言い、朝食の卵焼きを口にかき込んだ。
景子はハッとしたような顔をしてこちらを見て、そして頷いた。
十数年前、景子は結婚する前に付き合っていた男と頻繁に会っていた。
夫婦喧嘩が絶えなかった時期だ。
確信があるわけではないが、真人はその時の子供なのでは?という不安はあった。
真人の性格は私に比べ優しすぎる。
弱すぎると言った方が良いかも知れない。
性格が違い過ぎるのだ。
景子はまた下を向き、黙々と食事を口に運んだ。
いずれにせよ、真人は私の息子だ。
私が何とかしなければ。
私は手早く食事を済ませると、景子に声を掛けて家を出た。
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