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27.
綾女と出会ってから数年の時が過ぎた。
出会った時から変わらぬ性行為は、彼女の気が向いた時にされ、日常の一部とはなったものの、彼女に求められたことに嬉しいと思う一方、彼女が一方的に満たされているだけで百寧は少ししか満たされていなく、この持て余している身体をどう満たしたらいいのだろうと考えたりしていた。
「──ここに行けって言われた」
自室の椅子に座り、机に両肘ついてぼうっと窓の外を眺めていた時、当たり前に来ていた綾女が机に何かを置いた。
目線を落とすと学校のパンフレットのようだった。
青空の下、その空と負けないぐらい爽やかな色合いのセーラーを着た女生徒達が笑い合っていた。
そのパンフレットを手に取り、パラパラと捲ると明治頃に創立した由緒正しき女子校と書いてあり、授業風景や学校行事などの写真も載せられていた。
百寧も綾女も今年で中学三年生だ。そろそろ高校受験のことを考えなくてはいけない。だが、この家の養子になったとはいえ、跡継ぎではない綾女の人形である百寧に高校まで行く必要があるのだろうか。
「百寧も高校に行ってもいいの?」
「こんな家にいたいっていうなら行かなくてもいいけど」
これ以上の質問をするなと暗に言っているように切り捨てるように言った。
綾女が言っていたこの離れと呼ばれている場所は、来た当初から変わらずに態度が冷たかった。
百寧にも、そして綾女にも。
それでも来た時よりも気にならないのは、綾女がいてくれるからなのだろう。
人形遊びするように抱かれている間は、綾女のことしか考えなくていいから、特に。
けど、最近の悩みである満たされない身体を綾女以外が満たしてくれるなら。
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