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2.
「く⋯⋯っ」
百寧の下で腰を振っていた男が低く呻く。
何かと思ったのは一瞬で、ナカが放たれた熱を感じた。
遅れて後ろに挿れていた男も白い液で満たす。
後ろはまだしも、前は子宮にまで達しているのを感じた。
お仕置きのための道具の種なんて一滴もいらない。これがきっかけで妊娠でもしてしまったら。
そんな一抹の不安を感じたのは一瞬のことで、すぐに快感という思考に陥り、その気持ちいいという感情が身体中に走り、甲高い声で言葉にならない言葉を上げた。
「はしたない。私以外の人間にも結局欲情してしまう。だけど、私のも欲しくてフェロモンも出してる。欲張りな子」
「ほし、いっ! ほしいっ! ねぇ、もねに、愛をちょーだい!」
身動きが取れない中でも必死に言う百寧に、口角を上げた。
「必死になって欲しがっているの、たまらなく可愛い⋯⋯そうしてあげようかな」
──この人と出会ったのは、発情期が安定してない頃だった。
両親ともベータであるはずなのに、小学校の頃第二の性検査でオメガと診断された。
けれども、当時の百寧は悲観的ではなかった。
第二の性はどういうものなのか、それぞれの特徴を一通り授業でやったが、実際どういうものなのか分からなかったし、何よりもロマンチックだと思った。
アルファに項辺りを噛んでもらえれば、一生その人と一緒にいられるという理解の仕方をしていたからだ。
だから深く考えもしなかったし、かえってその性になって良かったとさえ思っていた。
そんな楽観的な考えは親にその診断書を渡すまでであった。
「百寧。ママに渡すものはない?」
「渡すもの? 何かあったっけ?」
「学校からのお手紙とか、宿題もそう。あなたママが言わないと何も出しはしないんだから」
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