2 魔法学園

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 2ー4 騎士  「いえ、学生としてではなく教師としてですよ、レリアス様」  ラグナック学園長が僕に話した。  「あなた様ほどの魔導師をこのまま王の玩具にしておくわけにはいきませんからな」  それは、思いがけない提案だった。  ラクウェル兄との契約で魔力を封じられている僕を学園の教師にといってくれるラグナック学園長の申し出は、涙が出るほど嬉しかった。  でも。  もしも僕までもここにかくまわれることになれば、ラクウェル兄が何をするかわからない。  それでなくてもすでにリリアンのこともある。  リリアンをラクウェル兄の魔の手から守ってくれているのは、この魔法学園だ。  これ以上、ここに負担はかけられない。  僕は、テシガアラを魔法学園に預けると一人でスラムの娼館へと帰るつもりだ。  「でも、それじゃ、レリアス君が」  テシガアラは、納得しなかった。  「また、君が、あいつに酷い目にあわされるのを放っておくことはできない!」  「テシガアラ」  僕は、テシガアラの手をとった。  暖かい、大きな手は、ごつごつしていてタコがあった。  たぶん、彼は、異世界の剣士だったのだろう。  「君をこの世界に誤って召喚してしまったのは、僕の罪だ。君は、僕のことなんて気にしなくてもいいんだ」  「いや、気にするよ」  テシガアラが僕の手を握りしめる。  僕は、なんだか暖かい気持ちになっていた。  テシガアラは、まるで異世界からきた騎士のようだ。  魔王というより、お伽噺にでてくる伝説の騎士みたいだな。  そんな彼のことを僕は、この世界に連れ去ってきたんだ。  僕の胸がちくりと痛む。  テシガアラにだって家族もいただろうし、もしかしたら恋人だっていたかもしれない。  不意にこの間、ラクウェル兄の手でテシガアラの前で醜態をさらされたことを思い出して僕は、顔が熱くなる。  僕は、自分の欲を満たすためにテシガアラに酷いことをしてしまった。  そんな僕のことを思いやる必要なんて、ない。  「どうしたんだ?レリアス君。顔が赤いぞ?」  テシガアラは、僕の頬にそっと触れた。  思わず、心臓が跳ねる。  「な、なんでも、ないよ」  「無理しないで」  「そうですよ、レリアス様。今日は、テシガアラ殿と一緒に学園の寮に泊まられるとよろしいのでは」  
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