2 魔法学園

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 2ー5 ひもですか?  僕とテシガアラは、魔法学園の校舎から少し離れた場所にある寮へと案内された。  この魔法学園は、全寮制だ。  生徒は、ほとんどが貴族の子息子女だったが、中には、裕福な商人の子などもいた。しかし、ここに入学するとみな、同じ寮に入寮することになっている。  魔法学園という名ではあるが、全ての生徒が魔法を使えるわけではない。  魔法が使えずとも学びたいという意思のある優秀な生徒は、受け入れるのがこの学園の特徴だった。  寮は、3つあり、貴族の子息が入る第1寮と貴族の子女の入る第2寮、そして、平民や、訳ありの生徒が入る第3寮がある。  テシガアラは、第3寮に入寮することになった。  第3寮は、3つの寮の中でもっとも小さい寮だ。  寮には、名前はないが、いつからかこの第3寮は、『アルモディス寮』と呼ばれるようになっていた。  なんでも何代か前の寮長の名だとか。  テシガアラは、ここで最もいい部屋を与えられることになった。  とはいえ他の寮に比べれば部屋は、小さかったがそれでもちょっとしたお屋敷の子息用の居室並みの広さがある。  テシガアラは、ベッドに腰かけると部屋を見回した。  「俺、寮に入るのなんて初めてだよ」  「そうなんだ」  僕もテシガアラの横に腰かける。  というのもこの部屋、机とベッドしかない。  それ以外の家具は、各自で持ち込むことになっていた。  「明日、街に買い物にいかないといけないね」  僕は、テシガアラに話した。  制服は、用意してくれるけど教科書や体操着は揃えなくてはいけない。それに、着の身着のままでこの世界に召喚されたテシガアラのために生活用品も必要だし。  ラクウェル兄に襲われたときにズボンを破られたテシガアラは、ローザがくれた服を着ていた。  だが、娼館にあった古着は、身長の高いテシガアラには短く、みすぼらしい。  部屋に置く家具も買わなくては。  「でも、俺、この世界の金を持ってないんだが」  テシガアラが言うので僕は、にっこりと笑った。  「それぐらいなら僕がなんとかできるよ」  僕も一応男娼だ。  ローザは、ラクウェル兄にかけあってきっちりと僕の仕事分の金をとっていた。  「テシガアラは、金のことなんて心配しなくてもいいよ」  「しかし、それではまるで俺がレリアス君のひもみたいだし」  テシガアラが申し訳なさげに顔を伏せる。  ひも、か。  僕は、もう27才だが、今まで恋人はいなかった。  それどころか婚約者さえいなかったのだ。  その僕にひもができるのか。  前に娼館の女たちが話していた。  娼婦にとっては、恋する相手がいることは救いなのだと。  
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