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1ー4 聖女召喚
僕は、鞄の中に手を入れて一本の小瓶を取り出した。
それは、王族に伝わる魔力を高めるための秘薬だった。
僕は、ラクウェル兄との契約によって自分の魔力を封じている。
聖女召喚の術を使うためにはどうしてもこの秘薬に頼らなくてはいけない。
僕が王都の外れにあるスラムのローザの娼館へと戻るとすでにローザが手配して聖女召喚に必要なものが揃えられていた。
僕は、娼館の中庭に出ると銀の魔石を砕いた粉で大きな魔方陣を描いた。
そして、それを囲むように魔導具の灯りを置いていく。
辺りは、もう薄暗くなっていて娼館の女たちや気の早い客たちの中には、僕が何をしているのかと窓から覗き込んでいる者もいた。
しかし、ローザの女たちは、すぐに男たちの気をそらして窓から離してくれていた。
僕は、急いで召喚の準備を整えた。
左手に魔導灯を持ち、僕は、王家に伝わる秘薬を手にした。
口で蓋を咥えて開けると僕は、それを一気にあおった。
秘薬は、甘い味がした。
ゆっくりと胃の中に落ちていく。
それと同時に体の中心に魔力が集まっていくのを感じる。
体が。
熱くなっていく。
僕は、熱い吐息とともに聖女召喚の呪を唱え始めた。
それは、呪い、だ。
異世界で暮らしている聖女を捕らえてここに連れてくるための呪い。
僕は、呪文を唱え続けた。
魔方陣が白い光を放ち始める。
と。
同時に、僕の体に異変が起こった。
下腹の辺りが光って。
熱が集まっていく。
背筋がぞくぞくするような甘い感覚が僕の体を苛む。
僕は、乱れる呼吸をなんとか整えようとした。
魔法は、呼吸が重要だ。
呼吸を乱しては術が成功しない。
だけど。
僕の心とは裏腹に体は、どんどん高まっていく。
僕は、たまらずローブを脱ぎ捨てると服を脱いだ。
布の擦れる感触ですら、今の僕には、快感で。
「あっ・・んぅっ・・」
僕は、下履き一枚になるとがくがくと震える足に力を込めようとした。
でも、もう、立っていられなくて。
僕は、魔方陣のそばに膝をつくと、口で呼吸を繰り返した。
「はっ・・ひゅっ・・」
僕は、涙ぐみ霞む目で魔方陣を見つめて最後の呪文を唱える。
ずくん
僕は、体を折り曲げて快感に堪えた。
「あ、あっ・・いで、よ・・聖女、よ!」
魔方陣が輝き、人影が浮かび上がってくる。
その黒い影を見つめたまま、僕は、体の中心を押さえてそして、達してしまった。
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