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6ー9 人形姫
僕とハジメは、隣国であるマハラート王国を目指していた。
マハラート王国までは、シュテルツ王国王家の馬車で向かっていた。
もちろん僕のためにリリアンは、騎士団を派遣してくれていた。
でも、今、シュテルツ王国は、貧乏でこの冬を乗り越えるために僕は、マハラート王国へ向かっている。
触手が言うように王家の財産を売り幾ばくかの金を用意していたが、それでもシュテルツ王国の全ての国民を養えるほどの食料を手に入れることは難しい。
触手は、僕に魔法技術を売り込むことを提案した。
でも、マハラート王国は、魔法を認めていない。
というか、マハラート王国は、魔法を異端としているのだ。
それは、宗教的なものが理由だ。
マハラート王国は、他国で邪神と呼ばれている神を信仰している。
「しかし、他国に援助を求めるなんてあの国は、終わってるな」
ハジメが馬車の中でぼやいた。
ハジメは、冬期の試験で一年生の首位をとった。
驚くぐらい頭がいい。
そして、なにより顔がいい。
僕は、ぼぅっとハジメを見つめていた。
最近、ハジメは、僕に隠れて何か一人で活動していることが多かったので、こうして二人っきりで過ごすのは久しぶりだ。
ハジメに何をしているのかきいても、教えてはくれなかった。
今回、ハジメが僕と同行を申し出てくれたのは、ハジメが隠れてしていることに関係しているらしい。
もし、僕が問い詰めればハジメはきっと何をしているのか教えてくれるのだろう。
けど。
僕は、ハジメを問い詰めることができなかった。
ハジメの活動の裏には、様々な人が関わっているようだった。
それは、ローザのような裏社会の人間だけではなく、リトアール公爵とその妹であるレディ カルプニアも関わっているようだ。
最近、ハジメがレディ カルプニアと一緒に過ごすことが多いという話をリリアンから聞かされて僕は、胸が騒いでいた。
レディ カルプニアは、変わり者として有名だったが、その美しさから人形姫とも呼ばれていた。
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