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三十年の時を経て
古地はこまめに谷内に連絡していた。
仕事で遠く離れた地へ旅立ったこと、そこで新しい彼氏ができたこと、そして結婚したこと。
そして、第一子を出産したこと。
それでも谷内は思いを捨てなかった。
そしてそれでも行動はしなかった。
行動はもうできなかったというのが正解だろう。
何を待ち続けているのか自分でも分からなかったらしい。
第一子を出産してからも古地は連絡をしてきた。
それが待ち続ける何かの一つだったのかもしれない。
古地は連絡をし続け、谷内はそれを受け、何かを待ち続けた。
何もせず、ひたすら待ち続けた。
そして…
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